ニューヨークに拠点を置くメトロポリタン美術館は、仮想通貨取引所FTXから昨年11月の倒産前に受け取った55万ドル(約7600万円)の寄付金を返還する方針だ

同美術館は6月2日、米デラウェア州の連邦破産裁判所に提出した文書で、FTXの債権者に資金を返還する意向を確認した。この裁判所は、FTXが破産手続きを開始した場所でもある。

メトロポリタン美術館によると、返還についてはFTXの債権者と「善意で、公正な交渉」を行った結果だという。「メトロポリタン美術館は、FTXの債権者に寄付金を返還したいと考えており、FTXの債権者とメトロポリタン美術館は、寄付金の返還に関して誠実かつ公正な交渉を行ってきた」とのことだ。

55万ドルは、2022年3月に30万ドル、同年5月に25万ドルの2回に分けてメトロポリタン美術館に支払われた。寄付は、FTX.USを運営していたウェスト・レルム・シャイアーズ・サービスによって行われた。

FTXの現経営陣は昨年12月以降、政治家や他の団体から寄付金を取り戻そうと試みている。これは、デラウェア州で破産手続きを開始してから約1か月後のことだ。裁判所の文書によれば、FTXは2020年3月から2022年11月の間に、計9300万ドル(約129億円)の寄付金を提供している

Unusual Whalesのデータによると、FTXから資金を受け取った約180人の米国の政治家のうち、資金を返還したか、返還する意向を示したのは19人に過ぎない。

Market Watchのデータによれば、「Protect our Future PAC」は、FTXから最も多くの寄付金を受け取った団体で、約2700万ドル(約32億円)を受け取っている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン