データ共有・照合・収益化にフォーカスした分散型データ交換プロトコルであるオーシャンプロトコル(Ocean Protocol)は、ドイツの大手自動車メーカー、ダイムラーAGとの間でのブロックチェーンを使ったパイロットプロジェクトを行ったと発表した。
ダイムラーの東南アジア子会社が、ブロックチェーン基盤のソリューションを使用してデータを収集し、収益化するためのものだ。パイロットプロジェクトでは、データのプライバシーを保護すると同時に、第三者による情報の分析と収集を可能にする、オーシャンプロトコルのソリューションの概念実証を行った。
オーシャンプロトコルでは、今回のパイロットプロジェクトの成功を受け、グローバル企業とのパートナーシップをより深化させることを期待しているという。
ダイムラーのIT担当ヴァイスプレジデントのハルトムート・ミュラー氏は「分散型の手法によってデータの価値を解き放つブロックチェーンの力を信じている」と述べている。
ダイムラーシンガポールのIT技術担当のシニアマネージャ―であるフランク・シューア氏は、分散型データ市場を「明確な報酬アプローチでデータを集約するための刺激的な機会」を提供する興味深い提案であると述べ、オーシャンプロトコルを使うことで「安全で透明性のある方法で実装したい」と語っている。
「データ共有を解放する」
今回のパイロットプロジェクトでは、オーシャンプロトコルの「Conpute-to-Data」と呼ぶソリューションを活用した。
5月にリリースされた「Conpute-to-Data」は、データのプライバシーを維持できるようにする一方で、第三者がこの情報を分析できるようにするものだ。
オーシャンプロトコルの創業者であるブルース・ポン氏は今回のパイロットプロジェクトについて、データ共有を解放するものだと述べている。「このパイロットプロジェクトにより、ダイムラーは自動車業界における継続的なリーダーシップを発揮できるだろう」と語っている。
ダイムラーとブロックチェーン
ダイムラーは今回のパイロットプロジェクト以外にも、ブロックチェーンへの取り組みを進めている。
昨年9月には、ダイムラーは、R3のブロックチェーン「コルダ」を使った貿易金融プラットフォームであるマルコポーロネットワークを使ったテスト取引を実施している。
このテストは、ダイムラーと部品製造のDurr社間で実施され、Durr子会社のシェンクからの注文とデリバリー契約を含んだ支払いが確認された。同システムでは、注文した商品が届くと、自動的にオーダー情報がアップロードされて取引データと照合する仕組みという。
また昨年2月には、ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツが、サプライチェーン用のブロックチェーン基盤のプラットフォームのプロトタイプを開発したというニュースも出ている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン