フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは25日、フェイスブックの投稿の中で、同社の独自仮想通貨「リブラ」を自社サービスでサポートする考えを表明した。またリブラの発行体になるリブラ協会は「フェイスブックやほかのメンバーから独立している」と述べた。

「決済が最も重要に」

ザッカーバーグCEOは、同社の2019年第2四半期決算を発表したことを受け、フェイスブック上にメッセージを投稿した。

同氏は、決済分野がフェイスブックにとって長期的に最も重要になる分野だろうと語った。

「決済については、私が特に興奮している部分だ。私たちが手掛けているプライベートなやり取りを見ると、決済は長期的に最も重要かもしれない」

フェイスブックの仮想通貨リブラについては、「私たちは自らのサービスを通じて、この通貨をサポートしていく計画だ」とし、自社サービスと連携していく考えを示した。

投稿の中では、ワッツアップを使った決済のテストをインドで実施しているとし、ほかの国へも展開していくとも言及。「将来的にワッツアップで友人や企業に送金したり、インスタグラムで買い物をしたり、フェイスブック上で取引を行ったりするため、同じ決済アカウントを使用できるようになる」と述べ、フェイスブックのサービスと決済機能とを統合する構想を語っている。

「目標は、ワッツアップのようなサービスを使用し、世界中の何十億もの人々に、安全で安定した、規制された仮想通貨にアクセスできる権限を与えることだ」

リブラ協会の独立性を強調

またザッカーバーグ氏は、フェイスブックとVISAやウーバーなど27の組織で構成するリブラ協会について、「リブラ協会はフェイスブックや他のメンバーから独立している」ことを強調した。

先週行われた米議会の公聴会でも、リブラ協会の独立性が問題となった。子会社カリブラのマーカスCEOは、公聴会でフェイスブックには「特権はない」と証言している

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ザッカーバーグ氏は投稿の中で、各国の規制に遵守する考えも示した。

「フェイスブックと協会の両方が、リブラをローンチする準備が整う前に、すべての懸念に対処するため、規制当局と協力していく」

この点も公聴会でのマーカス氏の証言に沿った内容だ。マーカスは、規制面での懸念事項をクリアしない限りリブラを提供しないとしている

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プライバシー保護強化を約束

データプライバシーの問題で、米連邦取引委員会(FTC)から50億ドル(約5400億円)の制裁金を課されたことにも触れ、プライバシー管理の監査プロセスを強化することを約束した。データにアクセスする開発者の監視厳格化やプライバシー委員会の設立といった措置を行うとしている。

フェイスブックのリブラを巡っては、個人データの保護への懸念から、リブラを批判する声も多い。例えば、リブラ批判の急先鋒であるマキシン・ウォーターズ下院議員は、フェイスブックが「顧客データのプライバシーを守ることに失敗した」とし、公聴会でフェイスブックを糾弾していた

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