タイ商業銀行大手のカシコン銀行は、事業拡大計画の一環として、分散型金融(DeFi)サービスの実験を開始した。
タイ英字紙のバンコクポストの報道によると、同行の技術面を担当する子会社であるカシコン・ビジネス・テクノロジー・グループ(KBTG)が実験を行なっているという。
KBTGのルアンロード・プーンポン(Ruangroj Poonpol)会長は、DeFi計画について、次のように述べている。
「DeFiはグループにとって、今年の重要な検討課題だ。このプロジェクトは、弊社の2023年までのデジタルトランスフォーメーションプログラムとして検討されている」
プーンポン氏によると、DeFiは革新的な金融サービスへのアクセスを通じて、タイの金融包摂を実現させる鍵となる可能性があると指摘。また、「資産担保型のDeFiは、タイに経済的価値をもたらす」と述べた。
資産担保型のDeFiは、現実の資産と連動するため、規制面でのハードルが高い。実際にメーカーダオのルーン・クリステンセン氏をはじめとする業界関係者は、分散型金融が主流の分野に移行し続けるためには、DeFiの関係者と規制当局との連携が必要であると訴えている。
DeFiの導入が決定したことで、カシコン銀行は東南アジア、特にベトナムのような人口の約3分の2が銀行口座を持たない国でのプレゼンス拡大を目指している。
カシコン銀行のDeFiへの進出は、他社に先駆けてタイ国内でのデジタル化を推し進めている証拠と言えそうだ。バンコクポストによると、資産規模でタイ第2位のカシコン銀行は、国内のデジタルバンキング取引の40%を占めており、1600万人以上のユーザーを抱えるタイ最大のモバイルバンキングプラットフォームであるという。
予定されているDeFiの実験以外にも、カシコン銀行はタイで仮想通貨やブロックチェーンを採用してきた・2018年9月、同行はVISAのクロスボーダー取引のためのブロックチェーンベースのB2Bソリューションに参加した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン