データアグリゲーターのYChartsの統計によると、資産運用会社グレイスケール・インベストメンツが発行する7つのデジタル通貨ファンドは現在、純資産価値(NAV)に対して34%から69%のディスカウントとなっている。

分析で追跡された保有資産は、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)、イーサリアム・トラスト、イーサリアム・クラシック・トラスト、ライトコイン・トラスト、ZCashトラスト、ホライズン・トラスト、ステラルーメン・トラスト、ライブピア・トラストを含んでいる。

すべてのファンドがその名称の仮想通貨のパフォーマンスに連動し、ステラルーメン・トラストのNAVに対する割引率は34%と最も低く、イーサリアム・クラシック・トラストのNAVに対する割引率は69%と最も高くなっている。

記事執筆時点で、グループ内のファンドが持つNAVに対する平均割引率は50%に達している。

これは、ビットコインを106億ドル保有するグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)の割引率もほぼ同じ数字になっている。イーサ(ETH)を37億5000万ドル保有するグレイスケール・イーサリアム・トラストも50%の割引率で取引されている。

グレースケールの投資ビークルは、米国証券取引委員会(SEC)から上場投資信託(ETF)としての認可を受けていないため、店頭取引(OTC)で取引されている。以前、GBTCなどの同社のファンドは、仮想通貨の強気市場において、投資家の需要の高まりからプレミアムで取引されていた。

しかし、投資家心理を逆なでするような事態が相次いだ。まず、SECは6月29日、GBTCのETF上場申請に対し、「不正行為や操作行為を防止するための仕組みが示されていない」として却下した。これに対し、グレイスケールはSECを相手取り訴訟を起こし、現在も進行中だ。同社の法務担当者は、訴訟には最大で2年かかると見積もっている。

また、グレイスケールの親会社であるデジタル・カレンシー・グループ(DCG)は、仮想通貨の冬の中で問題に直面している。DCG子会社ジェネシス・グローバルがFTX破綻に関連する「前例のない市場の混乱」を理由に11月16日に出金を一時停止した後、DCGは債務超過の噂に襲われている

さらにグレイスケールは、準備金証明の監査を求めるユーザーの問い合わせに対して、セキュリティ上の懸念を理由に、完全なオンチェーン開示には至らなかった。その代わり、同社は保有資産の価値を証明するコインベース・カストディからのレターを公開した。グレイスケールは現在、OTCファンドで147億ドル相当のデジタル通貨を運用している。