イーサリアム(ETH)がデフレ資産になる可能性のあるイーサリアムネットワークへの待望のアップグレードが、7月の「ロンドン」ハードフォークで実装される予定だ。

イーサリアムのリードデベロッパーであるティム・ビーコ氏は、決定が今日下されることを2週間前に仄めかしていたが、5日のコアデベロッパーの会合で実装の提案に踏み切った。口頭での反対意見はなかった。

「EIP(イーサリアム改善提案)の実装が健全である段階まで到達した」と、ビーコ氏は会合で述べた。「[…]EIPをアップグレードに含める準備をする段階になったのだ」。

イーサリアムの共同設立者であるヴィタリック・ブテリン氏が共同執筆したこの提案は、マイナーが最高入札額のブロックを優先的に処理する入札システムから脱却し、新しい手数料体系に移行するものだ。新しい手数料体系では、ユーザーが各ブロックで最低入札額さえ支払えば決済できるよう、動的かつプログラム的に手数料が調整される。

さらに、基本的なネットワーク手数料はトランザクションごとに「焼却」されることになり、ETHのデフレ経済を引き起こす可能性がある

この提案は、投資家、投機家、ネットワークの常連ユーザーなど、イーサリアムコミュニティのほぼ全員のメンバーの間で広く期待されている。昨年のネットワーク取引の分析によると、EIP-1559を実装していれば365日の間に100万ETHが焼却されていたことになり、これは総発行枚数のほぼ1%に相当する。ETF発行会社であるグレースケールの今月上旬の調査では、デフレメカニズムはイーサリアムの価格に恩恵をもたらし、価格の好循環が生まれるだろうと結論づけている

手数料についてはユーザーからも数カ月前より苦情が出ており、ガス手数料3万6000ドルのユニスワップ取引に見られるように、単純な取引ですら料金が急騰する例が目立っている。

この提案を冷めた目で見る代表格がイーサリアムのマイナーだ。マイナーの収益の損失が50%に上るとの試算もあり、ハードフォークや代替案を実装すると脅しかける者もいる。しかし、提案は前進しており、最終的には「利己的な」マイニング手法に終止符が打たれることになる