新しいイーサリアム改善提案(EIP)に対してマイナーからの批判の声が起こっている。この提案はマイナーに対する報酬を大幅に削減するというものだが、マイナーからはネットワークのセキュリティへの懸念の声が浮上している。
EIP-2878は、ブロック報酬を75%削減することを提案している。ブロックあたり2ETHから0.5ETHにダウンする。このEIPの根拠は、イーサリアムのインフレ率をビットコイン(BTC)に近づけ、ETHの購買力を維持することだ。
この改善提案は、8月11日にコンセンシス(ConsenSys)のマネージングディレクターのジョン・リリック氏とレッジャー(Ledger)のクライアントサクセスのグローバル責任者であるジェローム・デ・ティシェイ氏によって提案された。開発者とマイナーがその有効性について話し合うことができるイーサリアム・マジシャンズ・フォーラムで共有された。
マイナー、特にGPUを使用しているマイナーはこれに強く反発。ブロック報酬の低下がネットワークの以前の削減率の2倍以上であり、51%攻撃を引き起こす懸念があると指摘した。
「あまりにも劇的な変化」
PegaSysのプロダクトマネージャーのティム・ベイコ氏は、「これはあまりにも劇的な変化だ。これまで私たちは5から3(-40%)、3から2(-33%)を経験してきた。そして今度は2から0.5(-75%)を実行しようとしている」と主張している。
「私の意見では、最大の懸念事項はネットワークのセキュリティだ(つまり、51%攻撃の可能性を低く抑えるにはどうすればよいのか、ネットワークのマイナーの多様性を維持するにはどうすればよいのかなど)」
別のユーザーがこの提案に反応し、「ASICはGPUと比較して非常に収益性が高い。アルゴを変更せずにブロック報酬を削減すると、残りのGPUがネットワークから削除され、ASICがネットワークを完全にコントロールすることになる」とコメントしている。
ビットキャピタルグループ(Bit Capital Group)の共同創設者兼CEOのジミー・トムズ氏は、イーサリアムはビットコインのインフレ率を真似する必要はないと主張している。イーサリアムは様々なことを達成しよとするネットワークであるからだと説明している。
トムズ氏はこの提案について「2.0への移行を機能させるのに十分な時間だけライトをオンにしておくように動機づけるため、可能な限り最小限の支払にする必要悪として扱われることは、悪い予感がする」とも述べている。
半減期メカニズムのないイーサリアム
イーサリアムにはビットコインのような半減期メカニズムがなく、今回のような提案された報酬削減によるインフレコントロールに依存しているため、大多数は原則としてブロック報酬の削減には反対していない。しかし、ほとんどは1.5または1ETHへの削減がより合理的であると主張している。
あるユーザーは、テザーのOMGへの移行は「マイナーに支払われる手数料を大幅に削減することになる」ため、提案のはタイミングが不適切だとも付け加えている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン