運輸・物流大手のAP.モラー・マースクは海上保険向けブロックチェーンプラットフォーム「インシュアウェーブ(Insurwave)」の使用を開始した。シートレード・マリタイム・ニュースが25日に伝えた。
EYとガードタイムが開発したインシュアウェーブは、クラウドプラットフォームのマイクロソフト・アジュールを分散型台帳技術として使用し、世界的な保険基準に則っている。5月初め、マイクロソフト・アジュールはブロックチェーンアプリ作成サービス、アジュール・ブロックチェーン・ワークベンチのリリースした。
マースクは初年度に、インシュアウェーブを使用して1000隻を管理し50万件以上のデジタル台帳トランザクションをサポートする。マースクのリスク・保険責任者ラース・ヘンネンベルク氏は「当社は海上保険に相当なリソースを費やしている」と、シートレード・マリタイム・ニュースに語った。
「それを[マイクロソフト・アジュール]に移すことは、手作業による処理の自動化や、海上保険取引に伴う様々な非効率性、フリクショナルコストの改善・削減といった点で当社に役立つ」
インシュアウェーブのブロックチェーンプラットフォームは現在、マースクだけでなくウィルズ・タワーズ・ワトソン、XLカトリン、MSアムリンによって商業利用されている。EY、ガードタイム、マイクロソフトは将来的にプラットフォームを拡大し海上貨物、世界規模の物流、航空、エネルギーセクターを含め対応する計画だ。
ブロックチェーン技術は過去にも保険業界で使用されてきた。3月の終わりに、いくつかの世界的保険会社がチューリッヒでブロックチェーンのスタートアップ企業を立ち上げた。また4月には、国際的保険会社マーシュが提携先のIBMとともに保険証券向けとして商業用ブロックチェーンソリューションを発表した。