米資産運用会社ヴァンエックらの”限定版”ビットコインETFは、米グレイスケールの提供するビットコイン信託(GBTC)のようなものだという見方が広がっている。

ウォール・ストリート・ジャーナルをはじめ複数のメディアは3日、ヴァンエックらの”限定版”ビットコインETF立ち上げについて報じた。しかし、仮想通貨業界の中では「ビットコインETF」という言葉を使うことに首を傾げるアナリストもいる。

仮想通貨アナリストのアレックス・クルーガー氏は、「ETF」ではないと断言。次のように説明した

「ヴァンエックらは、おそらくSECによるビットコイン承認を待つのに飽きたため、グレイスケールのビットコイン信託みたいなものを立ち上げるのだろう。ビットコイン信託は、ビットコインを保有し米国のOTC(店頭)マーケットでティッカーであるGBTCを使って取引する」

また、仮想通貨トレーダーのジョセフ・ヤン氏も、ETFではないとし、機関投資家はグレイスケールのビットコイン信託の代替手段を得ることになる分析した。

グレイスケールの資産運用額は6月末時点で30億ドル(約3180億円)超を突破。そのうちビットコイン信託が占める割合は90%以上だった。

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現在、ビットコイン1万ドル以上を継続的に保っている背景には、グレイスケールの買いがあると話すアナリストもいる

仮想通貨業界の著名弁護士ジェイク・チャービンスキー氏は、「ビットコインETF」報道について「単純に間違っている」と指摘。「限定的なETF」と呼ぶことは、「可愛いマーケティング戦略」に過ぎないと述べた。

チャービンスキー氏は、ETFの恩恵とは「流動性」、「価格発見(price discovery) 」、「透明性」、「投資家保護」などであるが、それらは大手取引所への上場に依拠しており、正式なETF承認に付随する条件を満たすことが必要になってくると解説した。