レジャー(Ledger)のパスカル・ゴーティエCEOは、ユーザーがレジャーの物議を醸す新しいリカバー・アップグレードをオプトインすると、理論的にはそのプライベートシードフレーズが裁判所の令状により政府に提出される可能性があることを確認した。

レジャーの最新のファームウェア・アップデートとハードウェア・ウォレットは、過去1週間で敏感な話題となっている。

同社は新しいリカバリー・アップグレードを、ユーザーがシードフレーズを紛失した場合にそれを回復するために、サードパーティのエンティティとシードフレーズのバックアップを可能にするオプショナルなファームウェア・アップデートだと説明している。

ユーザーがこのサービスにオプトインすると、シードフレーズは「シャード」と呼ばれる3つの暗号化されたフラグメントに分割され、それぞれがコインカバー、レジャー、そして独立したバックアップサービスプロバイダーに保存される。

ピーター・マコーマック氏の「What Bitcoin Did」ポッドキャストの中で、ゴーティエ氏は、新しいリカバリー・アップデートが技術的にはユーザーのシードフレーズを政府に提供する可能性があるものの、それはドラッグやテロリズムに関わる「重大な行為」に限られるだろうと語った。

「普通の人々が毎日裁判所からの令状を受け取るというわけではない」

ポッドキャストのホストであるマコーマック氏はこの主張に反論し、2018年にコインベースが米国の内国歳入庁(IRS)から訴状を受け、1万3000人のユーザーの個人情報を提出せざるを得なくなったケースを指摘した。

ゴーティエ氏は、この例は不正確な比較であると反論した。コインベースと違って、レジャーは銀行機関ではなく、仮想通貨取引所と同じ法的制約を受けていないと彼は述べた。

懸念は大げさ?

一部のユーザー、例えばツイッターで活動するの偽名の仮想通貨解説者である0xFoobarなどは、このアップデートを許しがたいプライバシーの侵害とみなしているが、レジャーの代表者たちは、これらの懸念は大部分が誤解によるものであると主張している

レジャーはコインレグラグとのインタビュー、新しいリカバー・アップデートがユーザーにとって実際に何を意味するのか、より詳しい説明を提供した。

「核となる価値提案は常に同じで、自己保管と自己主権の精神はあなたが選択することを意味する」とレジャーの広報担当者は述べた。「レジャー・リカバーの導入がそれを変えるわけではない。それが自分が登録したいと思うサービスかどうかは完全にあなた次第だ」。

ソーシャルメディア全体で同社に向けられている多くの非難を受けたが、レジャーはオリジナルのシードフレーズ自体が依然としてデバイスから出ていないと主張する。

「あなたが選択した場合に作成するのは、SSS暗号化および分割されたバックアップである。これらのシャードは、ユーザーがバックアップをレジャー・デバイスで復元し、そしてレジャー・デバイスでしか復元できない場合に限り、複数のパーツが必要となるデコードを行うまで、完全に無用である」

「レジャー・リカバーを使用したくない場合、何も変わらない」と付け加える。

競合するコールドウォレットプロバイダーであるグリッド・プラス(Grid Plus)が現在取り組んでいるファームウェアコードをオープンソースにする計画があるかどうか尋ねられたとき、レジャーは、その「セキュアエレメント」チップの内部構造をオープンソースにすることは、チップ製造業者からの法的制約により不可能であると主張した。

「私たちがすることは、私たちのコードをさらにオープンソース化していくことで、ラズベリーパイと同じレベルに達するまで、セキュアエレメントに関連するコードの一部が閉じられているだけであることを続けることだ。これには、私たちは法的に束縛されている」。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン