経済・金融危機が続くレバノンで9日、レバノン中央銀行は2021年に新たに中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入する計画を明らかにした。

レバノン中央銀行のリアド・サラメ総裁は、銀行システムへの信頼回復の方法として、関係者に対し「レバノンのデジタル通貨プロジェクトを準備しなければならない」と述べた。

レバノン国営通信によるとサラメ氏は「レバノン市場への貨幣供給について、家庭内に100億ドル(約1兆520億円)が保管されていると推定されている」と述べたという。

同氏は、2021年に開始されるデジタル通貨プロジェクトは、キャッシュレスシステムの導入によって、国内外のお金の流れを強化するのに役立つだろうと期待している。

レバノンは海外からの送金に大きく依存している状態だ。世界銀行によると、2019年には個人による送金はレバノンの国内総生産(GDP)のうち、14%近くを占めている。この割合は2004年の26.4%からは減少している。

サラメ氏は、レバノンは広範な市場危機に対するヘッジとして金準備を維持すると述べている。そのような危機が発生した場合、中央銀行は直ちに救済のために外国市場で金地金を流動化できる。

レバノン中央銀行は、2018年からCBDCについて否定的な態度をとってきた。しかし、今年に入り3月にはデフォルト(債務不履行)となり、インフレ率が急増。貧困と失業が急速に悪化した。市民の怒りである抗議デモが銀行と政治家に向けられている。

レバノンの法定通貨への不信感はビットコインの購入を引き起こし、ローカルビットコインといったP2Pのマーケットプレイスでは活動が急増している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン