中東レバノンでは銀行への不信感から仮想通貨ビットコインがブームになっている。26日にアルジャジーラが報じた。
レバノンは過去数十年間のうちで最悪の経済危機に陥っており、銀行は非公式ながら資本統制を敷いた。国外にお金を逃がしたいレバノン人は、法定通貨レバノン・ポンドの価値を事実上40%も減らす交換レートで両替をすることも厭わないという。
レバノンの銀行に対する信用は過去最低水準。米ドルなど外国通貨の引き出し上限など厳しい規制を続けている。外国通貨の引き出し上限は1カ月で50ドル〜2、300ドルの間で、海外送金は「必要事項」である場合に年間5万ドル(550万円)が上限となっている。
こうした状況の中、レバノン人はビットコインなど仮想通貨への投資を加速させているそうだ。
アルジャジーラによると、2015年からビットコインのトレードを始めた29歳のレバノン人でデグヘイム氏は、「銀行システムを迂回したければ、ビットコインが解決策だ」と話した。
レバノンとビットコイン
サトシ・ナカモトがビットコインのホワイトペーパーを書いてから11年以上が経ったが、これまでレバノンでビットコインが受け入れられてきたわけではなかった。
レバノンの中央銀行はクレジットカードやビットコインを買うことを規制した。また、レバノンではインターネットのスピードが遅く停電も発生しがちであることから、ビットコイン普及にとって良い環境ではなかった。
さらにビットコインはボラティリティ(変動幅)が高いことで有名だ。レバノン人は、レバノン・ポンドとドルの固定レートに慣れており、リスクを取りたがらなかったという。
しかし、最近のレバノン・ポンドに対する不信感から、ビットコインに向かう人が増えている。
ベイルートが拠点のビットコイントレーダーは「これまでビットコインはお小遣い程度だったが、最近は主要な収入源になった」と話しているそうだ。
また、匿名の会社経営者は、毎月3万ドル(約330万円)分のビットコインをレバノンに持ち込み給料の支払いに使っている。ビットコインは外国の口座で買われてレバノンのOTC(店頭)取引で売られるという。
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