元国務省職員のアンヤ・マヌエル氏によれば、米国が金融イノベーションと決済での優位性を維持できない場合、国家安全保障政策、特に経済制裁において影響を受ける可能性があるという。

4月21日のツイッタースペースのディスカッションで、コインベースのブライアン・アームストロングCEOとリスナーに話しかけたマヌエル氏は、米国が決済分野の最大のグローバルリーダーの一つであるため、イランや北朝鮮のような「悪事を働く者たち」に対して制裁を実施できていると語った。マヌエル氏によれば、明確なルールの下で国がイノベーションをリードすることで、米国の国家安全保障が強化されるが、中国はモバイル決済において「洗練度と規模の両方で」肩を並べようとしている。

「米国では思慮深い規制枠組みがなく、中国は前進している」とマヌエル氏は語った。「例えば、中国の決済ソリューションが発展途上国で主導的な地位を獲得した場合、制裁の実施は非常に困難になるだろう」と予想する。

米国は、財務省の外国資産管理局(OFAC)を通じて制裁を実施しており、ウクライナ戦争ではロシアの国民や団体に対する制裁を行っている。これには、仮想通貨ウォレットへの制裁も含まれる。マヌエル氏は、制裁は「伝統的な銀行の世界」と「責任ある」ブロックチェーン企業では一般的に機能するが、制裁を回避しようとする個人が利用できる金融テクノロジー企業が存在する場合には機能しないと指摘した。

「シンガポールや英国、EUなどの思慮深い国々が協力して行動している。これは不可能なことではない。ただし、米国ではまだ実現していない。米国では、規制は米証券取引委員会からの執行措置によってほぼ完全に行われている」と、マヌエル氏は言う。

このツイッタースペースのディスカッションは、米国で仮想通貨に友好的な政策と候補者を支援することを目的としたコインベースの「Crypto435」キャンペーンの一部として行われた。3月にウェルズ通知を受け取ったことを受け、アームストロング氏は、米国有権者に仮想通貨支持につながる行動への訴えを繰り返している。ウェルズ通知とは、法的措置を講じる可能性がある場合にSECによって出される。

アームストロング氏は、SECが仮想通貨業界を規制するための「明確なルール」を提供する必要があると主張する仮想通貨業界の急先鋒だ。たウェルズ通知を受けて、コインベースのCEOは今週、SECの役人や米議員と会談し、規制の明確化を求めて活動している