米仮想通貨取引所大手クラーケン(本社・サンフランシスコ)がシステム更新を開始してから48時間以上サービスを再開しておらず、ユーザーの苦情が殺到していることがわかった。クラーケンのエンジニアはもともとシステム更新に必要な時間を2時間と見積もっていたという。

 口座開設の申し込みや取引量が激増する中、仮想通貨取引所はシステム増強に追われている。コインベースやビットスタンプでは増加し続けるアクセス数が原因でネットワーク遅延が発生。ビットフィネックス、バイナンス、ビットレックスでも一時新規口座開設の受付を停止していた。

 中でもクラーケンは一番大きな問題を抱えているようだ。接続エラーが頻発し、取引注文を出すのが困難になっている。一つの注文を実行するのに10~15回ページを再読み込みしなくてはならない状態だ。また、一部のユーザーは失敗したはずの注文がその後何度も発注され何千ドルもの損失を被ったという

昨年末にシステムアップグレードを宣言していた

 昨年ビットフィネックスが米国市場を撤退して以来、米国のユーザーにとって選択肢はそう多くない。また一部のアルトコインの対ドル取引はクラーケンでしかできない。また、クラーケンは米国で唯一ビットコインの売り注文をだせる取引所だ。

 クラーケンは昨年12月15日、システム増強を発表しユーザーを喜ばせていた。

Kraken.comの動作は非常に劣化したものであり不安定だ。多大な遅延のせいでウェブとAPIサービスのどちらもがうまく作動しない状態だ。リクエストは頻繁にタイムアウトになり失敗する。現在唯一の解決法はしばらく待って再度試すことだ。

来週、クラーケンは大規模なシステムアップグレードを行い、スケーリングと読み込み時間の問題を解決する。これまでアクセス増加への当座の対応におわれており、アップグレードが大幅に遅れていた。

約2時間の予定が大幅に伸びる

 12月の第三週に予定されていたアップグレードはその後二回キャンセルされ、1月10日の米西海岸標準時間で午後9時(日本時間で11日午後2時)にいよいよはじまった。

 当初同サイトには「クラーケンのサービスは約2時間、もしかしたらそれ以上の時間オフラインになる」としていたが、現在は「メンテナンスが進行中」という文言になっている。

 この間アップグレード作業が最終段階にきているという説明も掲載されたが、その後「最終テストで多くの問題が見つかった」とした。

 アップグレード作業がはじまってから1日後には「最後のいくつかの問題の解決にあたっているが、サイト再開の時間は未定だ。サービス再開の際は、古い注文をおそらく全てキャンセルし、清算を停止することを予定している」としていた。

 この二日間も相場は動いており、クラーケンは既存のポジションや注文にどう対応するかに注目が集まっている。

 また驚くべきは、クラーケンはアップグレードがはじまってから36時間後に問題解決に取り組むエンジニアを休息させるため帰宅させたことだ。

 「問題解決まであとわずかだが再開を少し遅らせて、チームが倒れる前に少し休息させることにした。そのほうがサービス再開後、より効果的にシステムをモニタリングし、問題に対応することができるからだ。残念ながら、これはサービス再開までにさらに数時間の遅れが生じることを意味する。」

 本記事発表時点で、クラーケンのサイトはまだアクセス不能となっている。

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