自民党の山本幸三金融調査会長(元地方創生相)は10日、ロイター通信のインタビューで「デジタル円」の発行を求める提言をまとめ、政府の「骨太の方針」に盛り込むように求める考えを明らかにした。

フェイスブックのリブラや中国のデジタル人民元が発行され、世界に流通すれば通貨主権が脅かされるとの危機感があるようだ。

デジタル通貨については元経済再生相の甘利明氏が会長を務める「ルール形成戦略議員連盟」が7日に提言を公表している。

山本政調会長は法律などの整備を考慮しても2~3年以内の発行を目指すと述べた。

ロイター通信によると、山本会長はリブラなどのデジタルプラットフォーマーが独自通貨を発行することに危機感を示したという。「デジタル円を発行しないと将来、情報がすべてを握るという、巨大なプラットフォーマーに対抗できなくなる。(各社のデジタル通貨の)広がりによって(既存の法定)通貨単位まで失うと、通貨主権自体が消えてしまう」と述べ、日本円が使われなくなることへの懸念を示した。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)をめぐっては、日本銀行が1月、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行、国際決済銀行(BIS)などと共同研究を行うグループを立ち上げたと発表。1月30日には日銀の雨宮正佳副総裁は都内で講演し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行について「需要がある場合に備え、日本銀行はデジタル通貨を発行する準備ができていなければならない」とCBDC発行の可能性を強調。これまで後ろ向きだったが、ここにきて急速に方針転換を図っている。

これまでにも自民党所属の衆議院議員、中山展宏氏が、リブラに対する大きな懸念は中央銀行の金融政策の効果を減らしてしまうことになると述べている。

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