トロンの創設者ジャスティン・サン氏の仮想通貨事業は、過去2ヶ月間にわたりハッカーから繰り返し攻撃を受けている。サン氏関連のプラットフォームでは、少なくとも4回のハッキングが発生している。
サン氏のHTX仮想通貨取引所は、2023年9月13日にフォビからリブランドして以来、少なくとも2回ハッキングされている。最初のハッキングはリブランド数日後の9月24日に発生し、約800万ドル相当の仮想通貨が盗まれた。
2回目のハッキングでは、HTXはホットウォレットから1360万ドルを失った。この事件はHTX、トロン、ビットトレントのエコシステム全体に影響を及ぼした。以前フォビとして知られていたHTXは、サン氏によって2022年10月に買収された。
ハッカーは、サン氏が所有する仮想通貨取引所ポロニエックスやHTXエコチェーン(HECO)ブリッジなど、サン氏関連の他の仮想通貨プラットフォームも標的にしている。
ポロニエックスは11月10日に大規模なセキュリティ侵害を受け、ハッカーは少なくとも1億ドル相当の仮想通貨を盗んだ。2019年に事業を買収したサン氏は、X(旧ツイッター)でポロニエックスがウォレットを無効にしたことを報告。ブロックチェーンセキュリティ会社CertiKによると、この事件は「秘密鍵の不正アクセス」が原因とされる。
HTXとイーサリアムなど他のネットワーク間でデジタル資産を移動するためのツールであるHECOチェーンブリッジも、大規模な不正流出を経験した。11月22日にハッカーがHECOを攻撃し、少なくとも8660万ドルを未知のアドレスに送金した。

これらのプラットフォームは過去2ヶ月間で合計約2億800万ドルの損失を被った。サン氏は全4件の事件に対する損失補償を約束したが、一部の仮想通貨愛好家は誰がハッキングに関与しているわからないため、ポロニエックスやHTXから離れるようコミュニティに呼びかけた。
ある仮想通貨オブザーバーは、ポロニエックスが5日間閉鎖され、HTXがビットコイン(BTC)などの仮想通貨に100%の利息を提供していることを指摘し、サン氏は「明らかに大きなトラブルに巻き込まれている」と主張した。

仮想通貨セキュリティ会社Hackenの広報担当はコインテレグラフに対し、「これらの攻撃はすべて同じターゲット、ジャスティン・サン氏のプロジェクトを狙っている」と述べ、「おそらく、内部に情報を漏らしている人物がいる可能性がある」と仮説を立てた。
「これらのプロジェクトは、秘密鍵のような機密情報の保存手順を改善する必要がある。また、そのような流動性の必要がなければ、資金の一部をコールドウォレットに保管するべきだ」。
米証券取引委員会は2023年3月にサン氏と彼の会社であるトロンやビットトレントを詐欺やその他の証券法違反で訴えた。さらに米国の裁判所は2023年4月にサン氏のシンガポールの住所に関する召喚状を発行。8月には、SECはサン氏に対する訴訟が進行中であると述べている。