次の金融危機を予想するレポートが米国の金融大手から発表された。

JPモルガン・チェースのクオンツ投資の責任者であるマルコ・コラノヴィッチ氏は、「金融危機から10年」と題したレポートの中で、次の金融危機を「大流動性危機(the Great Liquidity Crisis)」と名付けて、米国では過去50年で前例のない規模のフラッシュ・クラッシュ(瞬時の急落)と社会不安を引き起こすだろうと予想した。最近、世界的なベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」の著者として有名なロバート・キヨサキ氏も金融市場は「史上最大の暴落」に向かっていると発言しており、資産の逃避先としてのビットコインなど仮想通貨への注目度が高まっている。

コラノヴィッチ氏は、現在米国で続いている株式相場の上昇サイクルの終わりに、流動性に端を発した売りが殺到するだろうと予測。2008年の金融危機以降、アクティブからパッシブファンドへの移行が続いているほか、トレーディングの機械化が進んだことから、株価が急落した時に買い支える十分な買い手がいなくなってしまっていると解説した。

コラノヴィッチ氏によると、アルゴリズムを使った投資を手がけるクオンツヘッジファンドなどは世界の資産の3分の2を管理するようになっているが、基本的に弱気相場になったら売るように単純にプログラムされているという。

基本的に、現在、純粋に機械的に動く投資グルーブが増えている。彼らは、VIX指数や債券と株の相関関係などある特定の合図で売るようになっていて、必ずしもファンダメンタルズを見て判断をしていない。つまりマーケットが2%下落したら、彼らは売らなければならない」

さらに銀行などにおける電子トレーディングデスクは、相場が悪くなると撤退する傾向にありことから、市場からは流動性がなくなり、価格の崩壊を招くことになると同氏は指摘している。

この上でコラノヴィッチ氏は、「大流動性危機」に対して連邦準備制度理事会(FRB)は、パニック売りを抑えるために前例のない行動に出なければいけなくなるだろうと予想。資産価格への直接的な介入、おそらく株の購入などで対応することになるだろうとみている。

具体的な時期についてはコラノヴィッチ氏は、「2019年の後半までは発生する可能性が低い」とし、FRBによる利上げペースや米中貿易戦争の状況に左右されるという見解を示した。

このレポートを受けて、仮想通貨業界からは金融危機をヘッジするためにビットコインや金を買うべきだという見方が出ている。イーサリアム・ワールド・ニュースは、通貨危機に直面しているイラントルコではビットコインが重宝されていると指摘している。

金融危機に関して7月、ロバート・キヨサキ氏は金融市場は「史上最大の暴落」に向かっていると発言。キヨサキ氏は、ビットコインや仮想通貨の支持者としても知られていて、過去には仮想通貨がドルに取って代わるだろうと予言していた。