指定暴力団が仮想通貨を介して、犯罪収益のマネーロンダリング(資金洗浄)を進めているようだ。中国人男性の仲介役が証言した。16年春以降に洗浄した金額は、およそ300億円という。毎日新聞が14日に伝えた。

 同紙によると、16年春以降、東京拠点の指定暴力団が、違法薬物取引や振り込め詐欺などで得た犯罪収益を、海外を含む複数の仮想通貨取引所を経由して資金を洗浄した疑いがある。

 手口は次の通り。中国人仲介役の指示により、日本人を中心とする複数の実行班が、まずは日本の取引所で、資金をビットコインやイーサリアムに交換する。次に、本人確認なしで口座を開設できるロシアの取引所ヨビット(Yobit)や英国のヒットビーティーシー(HitBTC)など5〜6カ所の取引所の口座に仮想通貨を分散して送金。そこで匿名性の高いジーキャッシュ、モネロ、ダッシュに交換した後、複数の取引所の口座間で移動を十数回繰り返し、追跡を困難にした上で、現地の協力者が現地通貨に現金化。その後、商取引を装い日本円に替えていた。

 毎日新聞は、海外のゆるい規制がマネロンを可能にしていると指摘している。日本で上述の匿名通貨3種を扱っているのは、今年1月26日にハッキングされ、巨額のネムが流出したコインチェックのみ。同社を買収したマネックスグループは今後、匿名通貨の取り扱いをやめる方針を示している。