金融庁が設置した、仮想通貨の規制や制度の在り方について議論する研究会が10日、初会合を開いた。主要な仮想通貨取引所での取引状況が明らかになり、17年度の仮想通貨取引量が前の年度比で約20倍の69兆円に上ったことがわかった。研究会メンバーからはイニシャル・コイン・オファリング(ICO)やレバレッジ規制について意見が出た。

 研究会は、今年1月に発生したコインチェックの不正流出事件と、金融庁の検査により多くの取引所で内部管理体制の不備などが明らかになったことを受けて設置された。金融や法律、ITの専門家や研究者、消費者団体などからメンバーが選ばれている。

 初会合では研究会にオブザーバー参加している、日本仮想通貨交換業協会が、日本国内の取引状況について説明を行った。国内の登録業者14社とコインチェックなど「みなし業者」3社が情報を提供した。主要な取引所が共同でデータを公表するのは、初めてのことだ。

 それによれば、17年度の国内での仮想通貨取引量は、前の年度比で約20倍の69兆1465億円だった。そのうち、証拠金・信用・先物取引が8割以上を占めた。証拠金・信用・先物取引では、仮想通貨FXのような証拠金取引が97%と圧倒的だ。

 証拠金取引では、最大で20~25倍のレバレッジをかける業者もあるという。研究会メンバーからは「(20~25倍のレバレッジは)投機的状況であり、ギャンブルに近いものを認めていいのか」と規制を求める声もあがった。

 仮想通貨のうち、ビットコイン取引が66兆9244億円と全体の95%を占めた。2番目に大きいリップルで1兆2842億円、3番目のイーサリアムで5377億円にとどまった。これはグローバルなビットコイン取引で日本円のシェアが約6割を占めるのと合致する。

 顧客の入出金状況についても明らかになった。ビットコイン価格が過去最高値を記録した昨年12月に、取引所への入金が急激に加速していた。17年12月単月だけで1兆1714億円の入金があり、11月と比べて13倍以上だ。相場が下落し始めた18年1月以降でも、入出金はほぼ均衡しており、大幅な出金超とはなっていない。多くの利用者は、高値掴みした仮想通貨を手放せず、「塩漬け」している状態にあると思われる。

 また預かり資産額の分布状況を見ると、全体の利用者の約95%が100万円未満であり、約77%が10万円未満となっている。20代を対象とした民間の調査でも、仮想通貨の保有額が100万円未満とする層が約9割を占めていた。

 ICOについても、研究会で議論された。メンバーからは「ICOこそが仮想通貨高騰の震源だ」と指摘する声が出たほか、ICOを法的にどのように位置づけるのかといった問題について意見が出された。今後、研究会でICOに関する議論が大きなテーマになっていくとみられる。