◆イエレン前FRB議長が「ビットコインのファン」でないと発言した
◆「通貨として失格」、「不正取引の温床」、「環境問題の原因」、「金融システムの脅威」などあらゆる角度から批判した
◆仮想通貨業界からは「FRBの競争相手が好きじゃないようだ」という冷ややかな声が上がっている

FRBのイエレン元議長は、将来FRBにとって脅威となるかもしれないビットコインを全否定したいようだ。

FRB(米連邦準備制度理事会)の元議長ジャネット・イエレン氏は、ビットコインのファンではないと発言。ビットコインは、「通貨として失格」、「不正取引の温床」、「環境問題の原因」、「金融システムの脅威」である、などとあらゆる角度から網羅的に批判した。

カナダで開かれたフィンテックのフォーラムでイエレン氏は29日、「単刀直入にいってビットコインのファンではない」と述べた後、次のように理由を説明した。

「まず始めにビットコインが取り扱う決済取引がほとんどない。そして実際に取引が行われているのは、違法な場所だ。違法な取引だ」

通貨として使えるようになるためには価値が安定していなければいけないが、ビットコインは「真逆」。さらに決済スピードが遅く、支払い手段としても効率が悪いとイエレン氏は付け加えた。

イエレン氏によると、これらの問題はビットコインの非中央集権的な性質が要因だ。

ちなみにイエレン氏は価値の安定を問題点の一つに挙げているもののの、ビットコインは去年2000%ほど上昇し、価格のボラティリティ(変動幅)が激しかったものの、最近は6500ドル付近でこう着状態が続いている。確かにビットコインが取引手段として普及しているとは言えないものの、現状では「価値が安定していない」という理由づけはずれているように見える。

また決済スピードが遅いことに関しては、ライトニングネットワークの導入など技術的な改善策が検討されている。

イエレン氏の批判は止まらない。

中央集権が発行する仮想通貨についても「金融の安定に悪影響を及ぼす」と懸念を示した。そしてテロリストの資金源になったりマネーロンダリングに使われたりする点やサイバー攻撃の対象になるという点、エネルギー消費量が多い点など、ビットコインに対して幅広く問題点を並べた。

確かにテロリストの資金源やマネーロンダリングなどは問題だが、それはキャッシュでも同じことだ。先日、「仮想通貨ビットコイン(BTC)は『非匿名』で簡単に追跡できる」という報道もあった。またビットコインのエネルギー問題についてだが、既報の通り、これは専門家の間でも見解が分かれていて、注視が必要な分野だ。

そして金融の安定化というが、そもそもビットコインの人気が上昇している大きな理由の一つが中央銀行をはじめとする既存の金融システムに対する不満であることを、イエレン氏はどのように受け止めているのだろうか。

イエレン氏のビットコイン批判に対して仮想通貨業界からは冷ややかな声も出ている。長年のビットコイン提唱者で現在仮想通貨両替サービスを手がけるシェイプシフトのエリック・ボールヒーズCEOは次のようにツイートした。

「FRBはFRBの競争相手が好きではないのは明らかだ」

 

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