イタリアの仮想通貨取引所ビットグレイル（BigGrail）から約２００億円分の仮想通貨ナノ（XRB）が不正流出した巨額「ハッキング」事件。これを受けナノの開発チームは「フィラノ（ＣＥＯ）が長期間に渡ってビットグレイル取引所の経営状態についてナノのコア開発チームを欺き続けてきたことに関しての確証が出てきた」との声明を発表し、ハッキングではなく「横領」の疑惑が出るなど事態は泥沼化している。

　（参考記事「伊ビットグレイルで約200億円分のナノ(XRB) 不正流出 持ち逃げ疑う声も」２０１８年２月１１日）

　今回、コインテレグラフではビットグレイルのフランチェスカ・フィラノＣＥＯから直接話を聞くことに成功した。

　同ＣＥＯは現在、被害を受けたユーザーから「殺人予告」を含む多数の脅迫を受ける等、強い非難に晒されている。

　ただし非難の声には「私を殺すと脅迫する人たちよ、このツイートへの返信にまとめてくれないだろうか。散らばった投稿を全部見るのに疲れ始めたよ」と返すなど余裕も見せる。

　ビットグレイルは１３日に新たな声明を公式サイト上に掲載し「所轄官庁にハッキングと悪用された（我々のソフトウェアが原因ではない）バグについての情報を報告した」と伝えた。

　さらに、ナノの開発チームに対しても誹謗中傷の苦情を再度述べたという。

　あくまでも自身の主張を貫くフィラノＣＥＯに直撃した。

ーーナノ盗難事件を隠そうとしたと非難されている。

フィラノ氏：ナノ開発チームと違って、我々ビットグレイルには隠すことはない。我々には彼らを中傷したり証拠もなく非難したりする必要も無い。今回の件でナノ開発者チームは非常に強いストレスを感じているように見える。

ーー事態解決に進捗は。

フィラノ氏：第一に法的な見地からどのように進めていくべきかを理解することに努めている。法的に何が可能で何が不可能かを理解した上で進めていく。

ーーこの件に関しての国際社会からの反応について、何かコメントは。

フィラノ氏：ノーコメントだ。

ーー失われた顧客資金に対する対応策は。

フィラノ氏：準備が出来次第顧客に報告する。

ーーナノ開発チームの協力無しで顧客への払い戻しをする対応策があり得るか。

フィラノ氏：盗まれた額を返金することは不可能だ。

ーー自宅住所も暴かれ脅迫を受けている。

フィラノ氏：ツイッター上で筒抜け状態になっている通りだ。

ーーセキュリティ面での欠陥を既に知っていたが修復せずにいたのでは、という声が上がっている。

フィラノ氏：悪意に満ちた根拠のない非難がナノ開発チームによってされている。彼らのブロックエクスプローラーの日付は盗難のあった１月１９日となっている、というのが真実だ。レイブロックスはチェーン上にタイムスタンプが無いため、ブロックエクスプローラーに頼るほか実際にいつ起こったのかを本当に知ることはできない。だがそれさえも、今回彼らが発表したチャット履歴から分かるように、全く当てにならないものだ。

ーーなぜナノ開発チームに台帳改変を要求したのか。

フィラノ氏：ナノ開発チームが許可なく公表したチャットの抜粋を見てほしい。（以下はフィラノ氏によるナノ開発チームへ呼びかけるくだり）

"The Bomber, [08.02.18 19:30]

（ナノ開発チームに対して尋ねて）「この状況をどう解決できるか考えているか？」

The Bomber, [08.02.18 19:32]

「解決策の一つとして、私が全てのウォレットとデータベースとともにビットグレイルをあなたたちに渡す。そして問題の取引をフォークしてユーザーに払い戻す。」

The Bomber, [08.02.18 19:32]

「さもなくばおそらくこの金は永遠に失われるだろう。」

The Bomber, [08.02.18 19:39]

「皆にとってショックなのは分かるが、この問題を解決するように努めて、ユーザーに何か連絡をしなければならない。」

　見ての通り、我々の意図するところは深刻な損害を被ったユーザーに返金することだけだ。そしてこの会話からも分かるが、私はこの問題が解決するまで身を引いて、彼らに取引所全体を管理させる提案もした。

　それにも関わらず、開発チームは、私が全てを隠蔽しようとしたと非難している。

ーーナノの流出は実際は発表より大分前に始まっていたとする声がある。

フィラノ氏：まず始めに、ネット上の人たちは全てのデータを把握していない。それは我々と法執行機関だけが手にしている。次に、取引が行われた日時を決定する現時点での唯一の方法である、ナノ開発チームによって開発・管理されていた公式エクスプローラーは当てならない。これは欠陥があると証明されているものだ。

＜終＞