イスラエルの最高裁判所は26日、同国のレウミ銀行に対し、仮想通貨のブローカーであるビッツ・オブ・ゴールド社の取引を制限することを禁止する臨時裁判所命令を出した。ファイナンス・マグネートが伝えた

 最高裁判所によるこの決定は「先例を作るもの」と評されており、これにより、一般的に同国銀行は、仮想通貨業界に関連した口座に制限を加えることができなくなる。

 昨年6月にレウミ銀行がビッツ・オブ・ゴールド社に対する銀行サービスの提供を拒否したことについて、同社が申し立てを行った際にはテルアビブ地方司法裁判所はレウミ銀行側を支持する判決を出している。当時銀行側は、サービスを拒否した理由として、イスラエルのマネーロンダリング防止法に基づき、ビットコインの取引に応じることができなかったと述べている。

 昨年12月には、レウミ銀行は、顧客からのビットコイン取引所への支払いを阻止する動きに出た。その理由について銀行側は、イスラエルの賭博禁止法、および中央銀行であるイスラエル銀行からの指示に基づいて「賭博取引を行うサイト」への支払いを停止したと説明している。

 ビッツ・オブ・ゴールド社に有利となった2月26日の最高裁判所の決定を受け、地元の新聞社であるグローブ紙は、ビッツ・オブ・ゴールド社の最高経営責任者ユバル・ロシュ氏の声明を伝えた。

 「最高裁判所の決定は、イスラエルの仮想通貨コミュニティが、その基盤整備に向けて引き続き注力していくことを可能にしたものだ。私たちは、世界で初めてデジタル通貨の取引活動に関するルールの作成を要求し、そして、それらのルールに則って活動していく」。

 今回の判決を下したアナット・バロン判事は、ビッツ・オブ・ゴールド社の口座取引停止というレウミ銀行の決定は、法律違反が起こり得るだろうという前提に基づいたものだと指摘。過去5年間遡ってみても、同社に何ら違反行為が見当たらなかったことが制限を取り消す決定を下す決め手となったとしている。

 だがバロン判事は、裁判所の命令は「銀行がすべての口座取引について個別に分析したり、企業活動を通じて顕在化したリスクを最小限に抑えるために行動を執る権利を損なうものではない」と付け加えている。

 ビッツ・オブ・ゴールド社を代理する法律事務所のジオニ・ピラーズドーフ氏は、

 「今回の最高裁判所の勇気ある決定を歓迎している。これは、まさに先例を作る決定であり、デジタル通貨の取引に関して、この決定の重要性は言葉を尽くしても言い表せないほどである」。

 イスラエルは国内における仮想通貨の規制に関するガイドラインを着実に準備しつつある。イスラエルの税務当局は先週、仮想通貨を課税という観点からの財産とみなすことを発表し、また17年8月には、イスラエル証券局の諮問委員会が新規仮想通貨公開(ICO)の規制に踏み切る可能性を表明している。

 さらに昨年12月にイスラエル政府は、闇市場での取引を制限する取り組みの一環として、法定通貨シェケルと連動する自国の仮想通貨の発行を検討しているとも述べている。