イラン中央銀行は、9月22日に中央銀行デジタル通貨(CBDC)の試験的な運用を行うと発表した。このCBDCは、「クリプトリヤル」とも呼ばれている(リヤルはイランの法定通貨)。デジタル版のリヤルは、数年前から計画されていた。

イラン商工会議者がまとめた情報によると、クリプトリヤルの立ち上げは当初今年11月に予定されていたが、CBDCは「金融包摂を改善し、イラン中央銀行が他のステーブルコインと世界的に競争するための強力なツールとして機能すること」を意図しているという。また、イランの専門家は、CBDCを使用する企業の準備、デジタルウォレットに対する国民の理解、導入が銀行に与える影響について懸念しているという。

クリプトリヤルは、イランに蔓延する汚職に対抗する手段としても注目されている。クリプトリヤルの開発は2018年に始まり、イラン中銀は今年中の試験運用に向けて準備を進めてきた。

アルジャジーラによると、CBDCは、オープンソース分散型台帳技術プラットフォームであるハイパーレジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)を使用して開発されたBornaプラットフォームで運用されるとのことだ。アルジャジーラによると、試験に参加する銀行は紙のリヤルと電子のリヤルを交換することになるという。このプラットフォームは許可制であるため、中央銀行が参加する銀行を選定することになる。

Bornaは、時代遅れのイランの銀行システムを近代化するために、2019年に採用された。アルジャジーラによると、Bornaのプラットフォームは手数料制の金融サービスの提供を可能にするが、それは今回の試験運用には含まれないという。

イラン国内での支払いに仮想通貨を使用することは禁止されているが、8月にイラン人が輸入品の支払いに仮想通貨を使用するようになり、イラン企業の間で仮想通貨の規制が不透明なことへの懸念が広がっている