米国の投資銀行TDコーウェンが仮想通貨部門を設立してからわずか1年余りで、コーウェンデジタルの閉鎖することになった。ただし、明確な理由は明らかにされていない。
TDコーウェンは2022年3月にコーウェンデジタルを立ち上げ、ビットコイン(BTC)やイーサ(ETH)など16種類の仮想通貨を含む仮想通貨市場への機関投資家向けのエクスポージャーを提供していた。当時、同社は先物、デリバティブ、分散型金融を中心とした追加サービスを展開する予定だった。また、12月にはヨーロッパの事業部門の幹部を雇用するなどしていた。
しかしブルームバーグなどが確認した新しいメールによれば、コーウェンデジタルとその約10人の従業員は6月1日をもって閉鎖されることになる。「今日がコーウェンデジタルのチームの最後の日だ」とメールには書かれている。閉鎖の理由は明らかにされていない。
コーウェン自体は昨年8月に13億ドルでTD銀行グループに買収され、今年3月に取引が完了した。
コインテレグラフは、TDコーウェンにコメントを求めたが、回答は得られていない。
仮想通貨部門の閉鎖は、昨年の仮想通貨企業の崩壊や2023年の米国の銀行問題の中で行われた。現在、コーウェンデジタルのウェブサイトは404エラーが表示されている。
注目すべきなのは、メールでコーウェンデジタルチームが別の組織の下で仕事を続けることを示唆していることだ。
「私たち全員が、機関投資家のニーズを理解する信頼できる相手が必要だと強く信じており、ハイタッチ・ロータッチな実行、知識を基にしたコンテンツ、企業アクセス、グループ教育イベントを通じてそれを実現しようとしている。しかし、別の場所でそれを行わなければならない」とメールには書かれている。
コーウェンデジタルの閉鎖は、1週間以内に2つ目の機関投資家向け仮想通貨部門の閉鎖だ。ブルームバーグの報道によれば、デジタルカレンシーグループ(DCG)は、5月31日からプライムブローカレッジ子会社であるトレードブロックを閉鎖することを決定した。同社は「長期にわたる仮想通貨の冬」と米国の厳しい規制環境を理由に挙げている。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン