DMMビットコインは22日、新しい注文種別となる「BitMatch注文」を導入する発表した。これは販売所方式とオークション方式(板取引)とをハイブリッドした注文方法で、10月28日から導入する予定だ。DMMビットコインの田口仁社長によれば、同社で板方式がない部分をこの新機能で補完させていく狙いだ。

「販売所方式とオークション方式のハイブリッド」

BitMatch注文とは、DMMビットコインが提示する「ミッド(仲値)価格を参考として、一定の有効期限内(発注から30秒)におけるミッド(仲値)価格で取引が成立する注文方法」だ。取引対称となる銘柄や数量に対して、顧客同士の注文をマッチングさせるが、約定における取引相手はDMMビットコインとなる。

DMMビットコインでは、注文が約定する方法について次のように説明している。

「お客様の注文が他のお客様の注文と一部又は全部が対当した場合、その一部又は全部についてマッチングが成立し、マッチング時点におけるミッド(仲値)価格で約定します。一方で、有効期限内にお客様の注文が他のお客様の注文と対当しなかった場合は、その一部又は全部についてマッチングは成立せず、成行にて時価で約定します」

DMMビットコインでは、このBitMatch注文の導入により、「販売所方式とオークション方式のハイブリッドのような形」での取引が可能になるとしている。

DMMビットコインによれば、これにより販売所方式の「スプレッドがある」というデメリットを緩和させることがポイントとなる。

出典:DMMビットコイン 

板方式がない点を補完

DMMビットコインの田口仁社長は、コインテレグラフジャパンとのインタビューの中で、今回のBitMatch注文の導入は、板方式がないという点を補完するのが重要な狙いだと話す。

「販売所や店頭取引(OTC)取引は提供しているが、いわゆる板方式のオークション取引はやっていない状況だ。この部分については競合他社に劣後する部分だ。板方式のオークション取引がない点をどうやって補っていくか、ここが重点的な課題だと思っている。そこでBitMatch注文という、新しい注文種別を今のサービスに導入する」

これにより、前述のようにスプレッドを気にせずに取引を行うことができるようになり、板方式の取引がないという部分をしっかりとカバーしていく。

レバレッジ取引での銘柄もさらに強化

今回のBitMatch方式の導入に加え、DMMビットコインでのサービス強化のため、レバレッジ取引での銘柄追加も積極的に行っていく方針だと、田口氏は語る。

DMMビットコインでは、国内ではレバレッジ取引での取扱銘柄が最も豊富だが、さらに銘柄を拡充させていく考えだ。

「基本的な方針は国内で他社で現物で取引するものは、すべてレバレッジできるように取り揃えていこうというコンセプトだ。国内外の複数の取引所で扱われていて、一定の流動性があるものについては優先順位を付けた上でレバレッジ銘柄として取り揃えていく方針だ」

田口氏は「年度内で2、3銘柄を追加できればと思っている」と話し、今年3月までに追加する考えも明らかにしている。

さらにステーブルコインの取扱についても、検討を続けていく考えを明らかにした。

「テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)といった通貨建て資産については、暗号資産に当てはまるかどうかは日本の法規制ではグレイなままだが、業界の中で連携する形でステーブルコインを暗号資産として取り扱ことができないかを検証していきたい。その上で、現物としてステーブルコインを扱えるとなれば、レバレッジ銘柄として取り扱いたい」

レバレッジ取引を中心にアクティブな投資家層をターゲット

田口氏は、DMMビットコインが他社との違いを出していくためにも、投資手段として仮想通貨を位置づけ、ユーザーの取り込みを進めていく考えを示している。

「より他社との違いを出していこうと考えている。レバレッジ取引を中心に、決済手段よりも投資手段として暗号資産をとらえ、株式やFXや商品と並ぶ、1つの分散投資先としてお客様に訴えていく。グループとしてDMM証券で培ってきた業務ノウハウもある。そこを強みとして活かしていく」

「レバレッジ取引で銘柄が豊富であることが1つのブランドとなっている。投資経験が豊富で、アクティブな人たち向けのツールをしっかりと整備していこうという方針だ」と、田口氏は話す。

その中で「劣後している点」だったのが板方式が整備されていないところだったが、今回の「BitMach注文」導入で、その解消を目指す。

「暗号資産ファイナンス事業」の検討も

田口氏は、DMMビットコインとして、新規事業領域として関心を持っている領域は「暗号資産ファイナンス事業」だと話す。

海外では、BlockFiなどの企業が取り扱っている領域だが、仮想通貨(暗号資産)を担保として現金のローンを提供するビジネスだ。

「仮想通貨を売買せずに長期保有する方針であっても、現金ニーズが出てくるケースがある。その場合に仮想通貨を売却することなく、暗号資産を担保として現金を借りれるようにする」のが狙いだ。

日本国内では「貸仮想通貨」として、投資家が仮想通貨を貸し付けて、金利を得るサービスはあるが、暗号資産を担保として現金を貸し付けるサービスはまだ国内では未着手だ。長期保有で仮想通貨を保有するという選択肢を取っている投資家からのニーズは高いとみる。また担保として預かった暗号資産をレンディングという形で、貸し出すことで流動性を提供することもできる可能性が出てくる

金融商品取引業の延長で非常に親和性の高い部分でもあり、来年度の中核的なビジネスになり得るだろうと、田口氏は話す。

田口氏によれば、現在はそのための情報収集をしている段階であり、どのようなスキームでビジネスを展開できるかを調査しているという。