2017年はICOにとって記録的な一年だった。数百件のICOが実施され、約4500億円の資金調達が行われた。

 一方で従来のIPO(株式公開)によって調達された資金は17年第三四半期までで1624件で22兆円と桁違いだ。また、ベンチャーキャピタルによる投資も第三四半期までで2645件で4.7兆円とICOによる資金調達額の十倍以上となっている。

 ICOによる資金調達額はIPOで調達された額の2%程度にしか過ぎないが、話題をかっさらっている。

 それはICOの急激な成長率が注目を浴びたからだろう。16年にICOによって調達された額は108億円ほど。17年にはこの40倍以上が調達された。

 また18年には既に180ものICOが予定されているという

 ICOが爆発的に伸びた理由はいくつか考えられる。

 まずICOがもたらした「金融の民主化」が大きな魅力の一つだ。伝統的な金融仲介者を経ずに誰でも新規案件に投資できるようになった。これは投資する側だけでなく、投資される側にとっても投資銀行による仲介費やコンプライアンス・法務・デューデリジェンス等関係の費用を払うことなく資金調達できるので大きな変革だ。またベンチャー投資もこれまで特定の都市圏に住むもの以外はアクセスが難しかったのに加え、株式の大きな割合を投資家に渡さなくてはならないケースも多かった。

 一方でICOが投資家の資金をだまし取る詐欺目的でつかわれることが懸念されている。黎明期ならではの「成長痛」となっており、コミュニティが納得する自発的な規制の枠組みが必要だ。

 18年はブロックチェーンの基幹インフラ開発や決済関連のプロジェクトだけでなく、これらを現実社会において応用するプロジェクトが増えていくだろう。

 現在、一時見られたICO熱はやや沈静化しているようだが、仮想通貨による資金調達のトレンドはこれからが本番。どう成熟していくか見ものだ。