アブダビ国営石油会社のADNOCは、ブロックチェーン技術を応用したサプライチェーンシステムの試験運用のためIBMと提携する。9日付けのADNOCのプレスリリースで明らかとなった。ブロックチェーン技術の導入により石油取引にかかる煩雑な手続きの効率化や透明化を目指す。
ADNOCは、1日の石油産出量が約300万バレル、天然ガス産出量はおよそ10.5立方フィートで、世界最大手のエネルギーおよび石油化学企業の1つである。同プロジェクトは、会計の自動化を行うことで、参加企業の間の「取引量や金銭的価値を追跡する単一のプラットフォームを提供する」と、プレスリリースに記されている。
先日ロンドンで開かれたワールド・エナジー・キャピタル・アセンブリーにおいて、ADNOCのデジタル・ユニット・マネージャーのアブドゥル・ナーセル・アル・ムハールビ氏は、「これはブロックチェーンを石油やガスの生成において利用する初めてのケースかもしれない」と語った。同氏はさらに、基盤となるテクノロジーに関する自身の見解を次のように語った。
「ブロックチェーンは大変革をもたらすものだ。時間がかかる労働集約型のプロセスをなくすことで、運営コストを大幅に削減し、商品のマーケティングと取引を強化し、長期的に持続可能な価値を生み出す。」
IBM側の担当者ザヒド・ハビブ氏は、同システムが「油田からお客様のもとに届くまで、すべての石油分子とその価値を明白に追跡することを可能にする」と主張した。
中東と北アフリカに特化したメディアのアラビアンガゼットは、将来的には消費者と投資家が「利害関係者の間のシームレスな統合をもたらす」データへのアクセスを得られると加えた。
プレスリリースにはさらに、ADNOCがこのシステムが同社と顧客に対して何をもたらすことを期待しているかについて、次のように記されている。
「(このシステムは)運営企業間の取引にかかる時間を削減し、バリューチェーン全体で運営の効率性を著しく高める。取引の透明性をさらに高めることで、生産データの信頼性も高めることになる。」
同様の取組として、石油会社大手のBP、シェル、およびエクイノールが、大手銀行および商社とタッグを組んだブロックチェーンで動作するポストトレード管理プラットフォーム「Vakt(ヴァクト)」がある。
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