IBM iXはソフトウェアサプライヤーのメディアオーシャンと提携し、ブロックチェーンを活用したデジタルメディア取引の追跡システムを立ち上げる。IBM iXが19日に公式ツイッターで発表した。

 IBM iXは、IBMのビジネス・技術関連のコンサルティング部門だ。IBM iXによると、メディアのエコシステムにブロックチェーンを導入する主な目的は、メディア媒体社から広告枠を購入するメディアバイイングにおける「不正や無駄を一掃」するためという。

 「ブロックチェーンは(メディアバイイングにおける)不正や無駄を一掃するための機会を拡大する」 メディアのエコシステム全体にブロックチェーンを統合するためのIBMとメディアオーシャンの間の重要な提携の発表会見で@Unilever(ユニリーバ)の@rmaster(ロブ・マスター氏)が発言した。

 

 この追跡システムは、不適切な団体に資金が流れるのを防ぐことでデジタル広告の詐欺に対処するものだ。また、IBM iXでグローバルマーケティングを担当するバブス・ランガイア氏は、このブロックチェーンを活用した試験的システムが、メディア企業間の金の流れを追跡し、不必要な中間業者を排除するのに役立つと述べた

「金の流れ、関係する企業、および各企業の業務内容を特定できれば、サプライチェーン内にいくつかの余分な段階があることを確認できるはずだ。それによって、現在中間業者に流れている生産資金の一部をパブリッシャーに戻すことができる」

 

 業界内の透明性を提供することに加えて、この試験的システムは、メディア取引に要する時間とコストを低減させることも目的としている。この試験は、ユニリーバ、キンバリー・クラーク、ファイザー、ケロッグ、ワトソンのメディア取引に関与することになる。メディアオーシャンのビル・ワイズCEOによると、この試験的システムは、19年末までにデジタルメディア業界の「大多数」の企業により完全に適用されることになるという。

 

「当社は来年末までに、業界の大多数の企業により採用される、完全に機能する拡大可能なソリューションを提供できるようになると思う」

 4月、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の最高ブランド責任者は、「可視性の欠如、透明性のない契約、透明性のない資金投入の評価方法、詐欺、さらに今や安全でない場所に広告が出されること」により、広告予算の約20~30%がメディアのサプライチェーンにおいて浪費されていると報告した。ジュニパー・リサーチの評価によると、デジタル広告主は18年、広告詐欺により1日当たり5200万ドル(約57億5000万円)の損失を被ることになるという。

 今回のプロジェクトは、ブロックチェーン技術を広告業界に統合するためのIBMによる初めての構想ではない。IBMは4月18日、広告主、パブリッシャー、および消費者の間の中間業者を「回避」し、契約とパブリッシャーによる支払いの明確な記録を提供するための概念実証(PoC)用のブロックチェーン製品を発表した。