FTXの元CEOのサム・バンクマン-フリード氏(通称SBF)は、仮想通貨ビデオブロガーであるティファニー・フォン氏を選び、電話によるロングインタビューに応じた。記事執筆時点でYouTubeに公開された2つのインタビューで、SBFはFTX破綻に関連する多くの主要な疑問について語っている。

最初のインタビューは11月16日に行われ、11月29日にYouTubeで公開された。SBFは、比較的無名の人物を選んでインタビューに応じた理由について、「こういうことに関しては、自分の直感を信じるようになったんだ」と語っている。フォン氏のチャンネル登録者数は1万人未満だ。「少なくとも中立的な立場から、この問題に取り組んでくれる人がここにいる」とSBFは語っている。

インタビューは、SBFが「正しい決断をすれば、私たちのような状況に陥ることはない」と話すところから始まっている。それを手がかりに、フォン氏はインタビューを始め、SBFが「他の人に通知することなく会社(FTX)の財務記録変更を実行」できるようにした「バックドア」について質問した。

SBFは、その発想そのものに驚きを示した。「私がそんなことをするというのか?」と。「それは絶対に違うと断言できる。私は、コードの書き方さえ知らないんだ。私は文字通り、FTXのコードすら開いたことがないんだ」と言う。

SBFは、FTXトークン(FTT)について、次のようにコメントしている。

「本当の価値があったと思う。とはいえ、いくつかの問題があっただろう。〔中略〕基本的には、ある意味で多くのトークンよりも合法的なものだったと思う。平均的なトークンよりも経済的に裏打ちされていた」

「非流動性が暴落の原因ではない」とSBFは続けた。むしろ、「ポジションそのものに対する恐怖によって引き起こされた市場での出来事が、大きく相関している」と言う。

2回目の電話インタビューでは、アラメダ・リサーチによるFTXの顧客資金の流用について言及し、その際「FTXにはリスクポジションを監視する責任者が一人もいなかった」ことを明らかにした。フォン氏は、その状況を具体的に説明するように求めたが、ほとんど成果はなかった。

SBFは、FTX破綻におけるバイナンスのチャンポン・ジャオCEOの役割について、「事態は安定させ、流動性を生み出す能力は確かにあっただろう。確かなことは分からないが」と話す。

FTXの破綻とその周辺のスキャンダルが自分に与えた影響について聞かれたSBFは、「毎日起きては何が起きたのか考え、1日に何時間も反芻しているんだ。[...] 他の人が見ているものとは違うんだ」と述べている。

ハッキング事件についても言及

FTXの元CEOは、11月16日のインタビューで、FTXのハッカーの正体に迫っていることにも言及した。ハッカーは、11月11日に取引所が破産を申請した直後に4億5000万ドル以上の資産を盗んだとされている。

「調査の途中でシステムへのアクセスを遮断されたため、正確な人物は分からないが、8人に絞った。その中の誰なのかはわからないが、かなりいい線までいったと思う」

SBFは、「元従業員か、どこかの誰かが元従業員のコンピュータにマルウェアをインストールしたのだろう」と考えているという。