ハイパーリキッド上でJELLYトークンの市場凍結および上場廃止につながった「不審な市場活動」を引き起こしたトレーダーが、その行動により最大で100万ドル近い損失を被った可能性があると指摘されている。

ブロックチェーン分析企業アーカム・インテリジェンスは3月26日のX投稿で、このトレーダーが価格変動から利益を得るためにシステムの操作を試み、ハイパーリキッドの清算システムが追いつく前に証拠金を引き出していたと報告した。

アーカムの事後分析によると、このトレーダーは5分以内に3つのアカウントを開設し、2つの口座にそれぞれ215万ドルと190万ドルのロングポジションを建て、3つ目のアカウントには410万ドル相当のショートポジションを構築して、それらロングポジションを相殺する形を取った。

「これにより、ハイパーリキッドから資金を引き出すためのレバレッジ構築が可能になった」とアーカムは指摘した。

その後、JELLYの価格が400%以上急騰すると、400万ドルのショートポジションが清算水準に達した。しかしそのポジションはサイズが大きすぎたため即時清算されず、ハイパーリキッドの流動性提供者ボールト(HLP)に移された。

同時にこのトレーダーは、他2つの口座から証拠金を引き出し、「7桁の未実現利益(PnL)がある状態で出金した」とアーカムは説明している。しかし、その後すぐに壁にぶつかった。取引所から制限が課されたことで、出金ができなくなった。

最終的にハイパーリキッドは、JELLYのマーケットを0.0095ドルでクローズした。この価格は、当該トレーダーのショートポジションと同水準であり、「最初の2つの口座における未実現利益(PnL)を全てゼロにした」という。

アーカムによれば、このトレーダーは合計で626万ドルを引き出したが、少なくとも100万ドルはまだ口座内に残っているという。

「仮に今後それを引き出せるとしても、今回の行動により4000ドルの損失となる。一方、引き出せなかった場合、損失は約100万ドルに達する」とアーカムは述べている。

ハイパーリキッドはその後、JELLYトークンに紐づく永久先物を「不審な市場活動の証拠」を理由に上場廃止にした。

過去にも類似のケース

このような事例は今回が初めてではない。ハイパーリキッドは3月14日、証拠金要件を引き上げている。これは、3月12日に起きた大規模なイーサリアム(ETH)清算により、流動性プール(HLP)が数百万ドル規模の損失を被ったためだ。

この時は、ある大口トレーダーが意図的に約2億ドル相当のETHロングポジションを清算し、HLPは約400万ドルの損失を被った。