仮想通貨取引所フォビは、8月5日から6日の間に8万6400万ドルの資金を流出させた。この背景には、フォビの資金不足や、中国当局が経営陣を調査しているという噂がある。今週末の資金流出により、取引所のトータル・バリュー・ロックド(TVL)は現在25億ドルになった。これは7月6日の309億ドルからの大幅な減少だ。
取引所の経営陣が中国で逮捕されたとの噂は8月4日に初めて報じられた。フォビが賭博プラットフォームとの取引に関与しているとの疑惑があったためだ。フォビの広報担当者は、これらの主張を「フェイクニュース」であると伝えた。
コインテレグラフの取材によると、過去数週間に少なくとも一人の経営幹部レベルの人物がフォビを去ったことが確認されたが、これが中国での調査と関連があるかどうかは不明だ。ソーシャルメディアプラットフォームXで、フォビのソーシャルメディア担当者は、噂は事実ではなく、現在取引所は「順調に業務を進めている」と述べた。
The source has been verified as a senior executive at Tron who has first hand knowledge of the investigation and has been at Tron for many years.
— Adam Cochran (adamscochran.eth) (@adamscochran) August 6, 2023
Whether you’ve been informed or not, your colleagues are currently under criminal investigation.
フォビは資金不足の問題にも直面しているとされる。フィンテック企業幹部でエンジェル投資家であるアダム・コクラン氏は、フォビがテザー (USDT) の保有量の不整合性を理由に、資金不足に陥っている可能性があるとの一連の投稿で指摘した。
DeFiLlamaのオンチェーンデータからコクラン氏は、8月5日時点でUSDTとUSDコイン(USDC)を合わせたフォビの資産が9000万ドル未満であることを明らかにした。しかし、フォビの最新の「Merkle Tree Audit」には、「フォビのユーザーがUSDTで63億ドルを保有し、ウォレットの残高が63億100万ドルのUSDTである」と記載されている。こうした理由からコクラン氏は「フォビは深刻な資金不足に陥っているのではないか」という。
8月6日のDefiLlamaのデータによると、フォビのウォレットはUSDTとUSDCを合わせて7200万ドルしか保有していなかった。

フォビは資金不足の噂や、オンチェーンデータと監査報告書との差異に関するコインテレグラフからの質問への回答を控えた。
他の管轄区域でもフォビは課題に直面している。マレーシアの証券監督機関による執行措置の結果、今年5月に同国での業務を停止した。