フォビグループのCEOリー・リン(李林)氏は12日、仮想通貨取引所ビットトレードの名前をフォビ・ジャパンに変えて、年内にはサービス開始できるよう努めると発言した。12日に香港法人であるフォビ・ジャパン・ホールディングが、ビットトレードを実質的に買収。世界最大級の仮想通貨取引所フォビにとって、日本の仮想通貨市場進出への大きな足がかりになると見られている。

リン氏は、中国最大のメッセンジャーアプリ「ウィーチャット」の個人アカウント内で関係者に向けて次のように述べた。

「過去3ヶ月のハードワークと金融庁との5回の面談を経て、ようやく許可が下りた。フォビ・グループがビットトレードの支配株主になる。ビットトレードはフォビジャパンに名前を変えて、日本と世界の利用者向けに規制を遵守するデジタル資産のトレーディングサービスを提供する。年内にもサービス開始できるように努める」

フォビは、これまでは中国の規制の目をかいくぐり、仮想通貨対仮想通貨の取引に特化してきた。今後の日本進出がうまくいけば、初めて合法的に法定通貨とつながる取引プラットフォームをもつことになる。ある業界関係者はコインテレグラフ日本版の取材に対して「フォビはもともと金融庁の登録取得を進めていたが、当局の人的リソースの関係もあり、進んでいなかった。時間を買った形だろう」と話した。

ただ今回の買収劇について市場の反応は冷ややかだ。ある仮想通貨取引所の関係者は、コインテレグラフ 日本版の取材に対して「(フォビが国内の仮想通貨取引所を買収することは)想定はしていたが、市場への影響は微小。来年以降、取引所自体が利益が上げにくくなるビジネスになる中、取引所のバリュエーションもさがっており買収額もそんなに大きくないのでは」と語った。

また外資系投資銀行勤務で仮想通貨に詳しい中国人トレーダーも今回の動きについて、「相場の流れを変える大きな影響はない」とみる。「市場の関心は仮想通貨そのものではなく仮想通貨デリバティブに移っている。中国発の取引所はデリバティブには詳しくないので今後も優位にたてる保証はない。そういう意味では米国の仮想通貨取引所の動きに注目している」と述べた。

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