取引量ベースで世界最大手の仮想通貨取引所OKEXのCEO職を務めていた李書沸(リー・シューフェイ)氏が、競合であるHuobi(フォビ)の取締役会秘書および国際市場開拓の要職についたことがわかった。リー氏は先週14日にOKEXのCEO職、OKコインのCFO職を辞任したばかり。まさに仮想通貨界の最大手取引所を舞台とした「電撃移籍」だ。

 フォビが発行するHTトークンはこれをうけ、14%上昇している

 リー氏はかつて香港上場企業でCFOを務めるなど、金融やコーポレートファイナンス分野での経験が豊富とされる。フォビでは取締役会に係る業務に加え、グループのM&Aやファイナンス、国際市場の開拓等を担当するという。

 コインテレグラフ日本版編集部が入手したフォビ創始者兼CEOの李林(リー・リン)氏の同社従業員宛てメールによると、李林氏は李書沸氏のCEO辞任の知らせと同時に同氏に連絡。即座にフォビに移る合意に至ったという。

 仮想通貨取引ビジネスの覇権をめぐっては、中国発の取引所が鎬(しのぎ)をけずる。過去24時間の取引量ベースでいうと、OKEX、バイナンス、フォビの順で競っており、どれもが中国資本の取引所だ。うちバイナンスが海外市場で巧みなマーケティングを行い先行していたが、ここにきてOKEXやフォビが猛追している。

 OKEX元CEOである李書沸氏のフォビへの移籍は、業界の勢力図にも影響を与える大きな異動といえる。

 フォビの李林CEOのメールによると、同社の従業員は2013年の創業時点で10数人にすぎなかったが今では1000人近くに膨れ上がっている。中国では昨年の9月に仮想通貨取引業が禁止されており業界に圧力がかかっていたが、仮想通貨間取引やOCT取引とよばれる仕組みを通して拡大を続けている。