暗号資産取引所FTXの突然の破綻を受け、大手暗号資産取引所は財務状況の健全性を証明することにやっきになっている。そこで焦点になっているのが顧客による出金申請を十分に対応できることを示す「準備金」証明だ。

ところがブロックチェーン上では不審な資金の動きが観察されている。特に話題になっているのが海外取引所大手クリプトドットコム(Crypto.com)の動きだ。

クリプトドットコムが10月21日に、32万ETH(約4億ドルに相当)を同業の取引所であるGate.ioに送金しているのだ。そしてGate.ioは10月28日に準備金証明(スナップショット)を公開している。

この資金の動きについてクリプトドットコムのクリス・マーサレクCEOは「誤って送金されたもので、最終的には元のストレージに返金された」と述べ不正行為を否定している。

Gate.io 10月28日時点での資産状況スナップショット 情報元: Colin Wu

ツイッター上では一連の資金の動きについて、Gate.ioがクリプトドットコムの資金を借りて準備金証明を粉飾したのではないかと話題になっている。

これに対しGate.ioの創業者であるリン・ハン氏は、公開された準備金証明は10月19日時点のもので、クリプトドットコムからの誤送金は関係ないと反論している。

さらに中国発の暗号資産取引所フォビにも疑念の目が向けられている。

資産証明がとられてから間もなく、フォビのウォレットから1万ETHがバイナンスとOKXのウォレットに送金されているからだ。送金後、フォビのイーサリアムウォレット残高は2463.5ETHになっている。

フォビのウォレット情報  情報元: Etherscan

暗号資産業界への疑念が高まる中、取引所には疑惑を払拭する真摯な説明が求められている。