新型コロナウイルスによってニューヨークやロンドン、パリなど世界の大都市が大打撃を受けている。

人口が密集する大都市では、新型コロナウイルスに感染する割合が高く、例えばスペインの首都マドリードは国全体の半分の感染者が報告されている。またイタリアの大都市ミラノの感染者数は全体の半数、死者数は全体の5分の3を数えている。この他、米国ではシアトルやロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークに感染者が集中していることが知られている

 新型コロナウイルスによって世界の大都市の時代が終わるかもしれない。そして、サイエンスフィクションに出て来るようなバーチャル都市の時代が来るかもしれない。

大都市離れのトレンドに拍車か

実は、新型コロナウイルス蔓延前から大都市離れの傾向は世界中で見られていた。

住宅価格の高騰により米国の若者世代であるミレニアル世代は郊外に住み始めていた。また、通勤に1、2時間かけてまで大都市に行くことに対して疑問を持つ層も増加し、企業側にとってもオンラインで仕事ができる場合、家賃の高い大企業に拠点を置くことは意味のないことだった。

もちろん郊外の方がホームレスは少なく安全で綺麗で自然が豊かだ。リモートワークの方が生産性も上がりパワハラもセクハラも減少するから離職率も低くなるかもしれない。実際1969年以来、米国5大都市が稼ぐ収入合計は減少している

新型コロナウイルスは大都市離れというトレンドを加速させるかもしれない。

ニューヨークは「今より若く、そして貧しく」

では、新型コロナ後の大都市にはどんな人が住むようになるのだろうか?ブルームバーグは、ニューヨークは1980年代のように今より若くて貧しい人が住むようになるだろうと予想。新型コロナが収束したらまず高齢者がニューヨークから脱出し、多くのビジネスがニューヨークに本拠地を置くように躊躇するようになり、ニューヨークはビジネスというよりは住民のための街になるだろうと述べた。

「1970年代や80年代のニューヨークになるだろう。違いは、犯罪への恐怖が感染への恐怖に変わるくらいだ」

ブルームバーグは、ニューヨークは今より貧しくなるが、歴史的なルーツに戻るだけであり今回のは調整だとみている。

一方、ニューヨーカーのプライベート生活では、新型コロナウイルスへの耐性を持つ人々とそう出ない人々の区別が進むだろうとブルームバーグは予想した。

前者は、免疫証明書を携帯してパーティやクラブなど比較的積極的なプライベートを送るようになる。後者は、より多くの時間をオンラインで過ごすようになり、握手を避け、地下鉄より自転車に乗るようになる。街のバーもそれぞれのグループの需要に適切なビジネスを展開するようになるのではないかと予想した。

「シティ・オブ・ビット」

独立系メディアのクイレット(Quilette)は、今後の都市は物理的な場所ではなく、MITの未来学者ウィリアム・ミッチェル氏が「シティ・オブ・ビット」で描いたようなバーチャルな場所になるのではないかと予想した。ミッチェル氏によると、バーチャル都市は企業や大学の敷地内にこっそりと住む富裕層が集まる場所として始まる。国から支給される収入に頼る「新たな農奴」階級は小さなアパートに住み、感染への不安を持ちづけながら仮想現実での生活割合を増やしていく。