仮想通貨ファンドは、伝統あるヘッジファンドによるポートフォリオ投資に引けを取らない、立派な投資手段である。ポートフォリオが100%デジタル資産で構成されている点のみが異なるが、それゆえ従来の金融規制とは若干異なるルールで運営されている。両者にどのようなちがいがあるか、そして、どの仮想通貨ファンドに投資すればよいのか?は、読者にとって一番興味のあることだろう。この記事では、新しい投資世界の冒険者たちに、最も役に立つガイドを提供しよう!

仮想通貨ファンドとは?

「仮想通貨ファンド」という言葉は、デジタル資産のみによって構成されるポートフォリオを指す。通常、1人または数人のファンドマネージャーによって運用される。投資家は、これらのファンドに応募することができ、ファンドの価値が上がれば、利益の分配を受けることができる。Crypto Fund Researchのデータによると、仮想通貨ファンドの半数強がベンチャーキャピタル的な性格を持ち、残りは主にヘッジファンドの仮想通貨部門だという。

ベンチャーキャピタルとは、成長性の高い新興企業に出資するため、投資家からの資金をプールしているファンドである。ベンチャーキャピタル的な性質を持つ仮想通貨ファンドの場合は、新規に立ち上げられた仮想通貨プロジェクトやアルトコインに対して投資を行う。プロジェクトが十分に成長すると、通常、資産は売却され、投資家は利益の分配を受ける。

一方、ヘッジファンドは、顧客から預かった資金を積極的に運用し、市場のリスクを最大限「ヘッジ」するためのポートフォリオを構築する。ヘッジファンドの名前の由来である。ヘッジファンドのポートフォリオには、あらゆる資産が想定され、「買い」と「売り」を駆使することで、ボラティリティと期待収益のバランスを最適化する。ヘッジファンドは通常、小規模なチームによって運営されており、最低投資額は数万ドルから数十万ドルなので、一握りの投資家しか利用できない。

伝統的なヘッジファンドは通常、短期的な成果を出すよう迫られることはない。「急いては事を仕損じる」からである。投資家はファンドマネージャーに少なくとも1年間の猶予を与えなければならない。また、ファンドマネージャーの報酬は、運用利益の20%と高く設定される。ファンドマネージャーに、過度なリスクをとらず、堅実な投資を行うインセンティブを与えるためである。つまり、投資家は1年間資金を回収することができず、ファンドマネージャーの高額の報酬も負担しなければならない。ヘッジファンドの司令塔となる戦略チームに対する全幅の信頼がなければ、到底投資などできない。もちろん、それでもファンドが最終的にリターンを得る保証はないのが、投資の世界だ。リスクを上手くヘッジできなければ、ヘッジファンドの「飯の種」であるはずの市場のボラティリティに、逆に自分が飲み尽くされることになる。実際、3月のコロナパニックによる暴落で、一部の仮想通貨ファンドは突然の下落にヘッジによる備えがなく、破綻している。

ファンドマネージャーたちのやり口

 ここで、ファンドマネジャーが資産を増やすために用いる投資ストラテジーを検討しよう。ごく一般的な手法に、「株式のバリュー投資」がある。この投資ストラテジーでは、ファンドマネジャーは過小評価されていると思われる銘柄(割安株)と、逆に過大評価されていると思われる銘柄(割高株)を見つけ出し、それぞれ買いポジションと売りポジションを持つ。はたして彼らの分析が正しければ、ファンドのポートフォリオの評価額は増大するはずである。

この考え方をさらに押し進めたのが、「マーケットニュートラル」戦略である。その特徴は、買いポジションと売りポジションを同額にすることで、マーケットのエクスポージャをプラマイゼロとする。割安株を買い、割高株を売り、買いと売りのポジションを同額にすれば、市場全体の価格変動に関わらず、安定的な利益が確保できるはずである。そして、ファンドマネージャーがボラティリティによるリスクを減らしたいと思ったなら、同額の買いと売りを「同じ業界の銘柄」で持てばよい。ただし、リスクの低減は、期待リターンの低下を意味する。このことは「虎穴に入らずんば虎子を得ず」のたとえ通り、一般に広く知られたトレードオフ関係である。

もう1つのヘッジファンドが得意とする戦略に、「アービトラージ」(裁定取引)がある。裁定取引にはさまざまなパターンが存在するが、基本的な発想としては、ある取引所で安く資産を購入し、別の取引所でそれらを高く販売するという、シンプルなものである。もともと伝統的なヘッジファンドにとっては十八番の投資ストラテジーだが、仮想通貨通貨市場は若く、不安定な性格を持つため、より収益性の高い投資機会を見い出しやすい。取引プラットフォームが異なれば、複数の資産に価格差が生じていることはよくあり、もし十分にすばやく取引することができれば、利ざやを得ることは比較的容易である。ただし、スピードが命の投資ストラテジーであり、高頻度トレーダーに好まれている。

さらに、市場のより大きなトレンドにそってポジションを取る「グローバルマクロ」や、マネージャーが割高と判断した資産を売ることのみに特化した「ショートオンリー」などのストラテジーがある。そして最後に、過去のデータを徹底的にリサーチすることで売買モデルを構築する 「クオンツトレード」 がある。これは個人投資家が好むテクニカル分析に近い。現実には、上記の複数の異なるストラテジーが、臨機応変に使い分けられることも珍しくない。が、自分の信頼するファンドマネジャーが、どのストラテジーを得意とし、現在どのストラテジーに依拠していて、ストラテジーの透明性を保っているかは、常に留意する必要がある。

人生いろいろ、投資もいろいろ

ファンドマネージャーの資質と人格は、仮想通貨ファンドへの投資を行ううえで最大のリスクとなる。投資家は、ファンドマネージャーを信じてしまう前に、よくよく調査を行うことをお薦めする。マネージャーの経歴、運用手法、実績について、より多くの情報を入手することは、投資家の正しい判断にとって不可欠なものである。正しい判断なくして、高い投資リターンを求めたとすれば、それは丁半博打と変わりがない。仮想通貨ファンドの大手には、Digital Currency GroupGalaxy DigitalPantera Capitalなどがある。いずれも仮想通貨とデジタル資産に特化したファンドである。

いうまもでなく、これらの大手仮想通貨ファンドへの出資は、潤沢な金融資産を持つ一握りの個人投資家にしか許されない。仮想通貨ファンドへの出資を行いたい一般的な個人投資家は、『Tokenbox』のようなプロジェクトへの参加を検討するとよいだろう。Tokenboxは、仮想通貨ウォレットや取引プラットフォームとして機能するだけでなく、ユーザーが自分のポートフォリオをトークン化したり、他人のポートフォリオと連動したトークンに対して投資することもできる。これは、個人投資家が仮想通貨ファンドに出資するのまったく同じ効果を持つ、合理的な方法といえる。高収益のポートフォリオと連動するトークンは、それ自体を売買することができ、その時価はファンドのパフォーマンスを瞬時に反映している。ファンドマネージャーたちは、自分の成功をアピールして、より多くの支援者を引きつけようとするだろう。巨額の元金を用意する必要もなく、取引所で「仮想通貨」を購入するような手軽な感覚で、ファンド投資の醍醐味が味わえる。
 

仮想通貨ファンドのゆくすえ

仮想通貨ファンドの見通しは、最近かなり明るくなってきた。プライスウォーターハウスクーパースとエルウッド・アセット・マネジメント・サービシズによる報告書によると、仮想通貨ファンドの運用資産総額は2018年の10億ドルから2019年には20億ドルとなり、市場規模は1年で2倍に跳ね上がった。さらに、2019年のこれらのファンドの運用利益率の中央値は30%で、2018年からわずかに低下したものの、依然として伝統的なヘッジファンドのそれをはるかに上回っている。これは、仮想通貨という新テクノロジーのポテンシャルに「伸びしろ」が期待されているためだろう。調査によると、投資対象になっている仮想通貨は、ビットコイン(BTC) 97%、イーサリアム(ETH)67% 、以下、リップル(XRP) 、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)が続く。仮想通貨ファンドが保有する利用可能な資金のうち、すでに3分の1が投入されているという。

仮想通貨市場は現在、マーケットライフサイクルにおける「導入期」の形質を示している。仮想通貨が一般大衆層から採用され、「成長期」から「成熟期」へと移行したとすれば、仮想通貨ファンドの数と仮想通貨の価格は、うなぎ上りになると考えてよいだろう。ただし、リスクは常に存在する。投資家は常にリサーチを怠ってはならない。デジタル資産の開発が順調に進み、多くの個人投資家が参入して来た日には、仮想通貨ファンドの新しい伝説がはじまるだろう。

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