米証券取引委員会(SEC)のヘスター・ピアース委員は、ブロックチェーン企業LBRYに対する規制当局の訴訟について、異議を唱える意見を公表した。
ピアース氏は10月27日の声明で、2021年3月にSECがLBRYに対して執行措置を起こしたことに「不安」を感じていると語った。2022年11月には、裁判官がSECの主張を支持し、LBRYのLBCトークンは証券であるとの判断を下した。
LBRYはこの決定を不服とし控訴したものの、同社は10月に法的費用による数百万ドルの負債を理由に事業の縮小を計画していると発表した。
「この訴訟は、委員会の誤った執行主導の仮想通貨へのアプローチの恣意性と現実の結果を示している」とピアース氏は語った。SECがLBRYに対して起こした訴訟は「不可解」であり、詐欺の証拠はなく、他の仮想通貨プロジェクトに比べてデジタル資産に対する保守的なアプローチを取っていたと彼女は指摘する。ピアース氏は、LBRYのようなプロジェクトが規制当局に登録する明確な道筋がなく、「それが可能だったとしても、特に有益な努力にはならなかっただろう」と言う。
「委員会はこの件について非常に厳格な姿勢を取った」とピアース氏は述べる。「例えば、判決で勝訴した後、委員会は4400万ドルの金銭的な救済を求め、LBRYが保有する全トークンを焼却するというLBRYの提案は、将来の登録規定違反を防ぐための十分な保証ではないと主張した。委員会が求めた救済策は、いかなる損害に対しても全く釣り合っていなかった」と彼女は付け加えた。
「この件に費やした時間とリソースは、LBRYのような企業が遵守できるような実用的な規制枠組みを構築するために使うことができた。そうすれば市場がLBRYの運命を決定することができた」
「委員会の行動は、起業家グループに彼らが築き上げたものを放棄するよう強いた」と彼女は述べる。「この件での我々の過剰な反応は、人々がブロックチェーン技術を試す意欲を削ぐだろう」。
仮想通貨に関連する取り締まり活動のケースで、ピアース氏はしばしばSECの行動に異議を唱えている。彼女は9月に、仮想通貨企業が米国での事業活動を諦めるべきではないと語りつつ、同時に規制枠組みの解決策を見つける点で委員会が「大幅に遅れている」とも述べた。
SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は、仮想通貨企業に対して、潜在的な執行行動を避けるために「規制当局と話し合う」ようにとしばしば呼びかけている。現在までに、規制当局は仮想通貨取引所バイナンスやコインベースなど、多くの企業に対して訴訟を提起している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン