グレイスケールのビットコイン・トラスト(GBTC)からの資金流出が加速し、現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)としての取引開始後の初日に運用資産が約50億ドル減少した。

YChartとグレイスケールのデータによると、GBTCの総資産は1月10日の285億ドルから1月18日には237億ドルへと落ち込んだ。ビットコイン価格の下落も資産運用額(AUM)の減少に影響を与えた。記事執筆時点で、ビットコイン(BTC)の価格は過去1週間で4%下落し、4万582ドルで取引されている

「いつ出血が止まるのか? 私にはわからないが、これは深刻な資金流出だ」とエリック・バルチュナス氏はツイッターで述べている

GBTCからの資金流出は予想されていた。1月10日に証券取引委員会(SEC)によってETFが承認され、GBTCの保有者は自身の株式をビットコインに換えて償還することができるようになった。それ以前は、保有者はポジションを解消するために流通市場で株式を売却しなければならなかった。

3日間で約11億ドルがグレイスケールのETFから流出し、保有者はグレイスケールの競合他社の低い手数料を求め、株式のわずかなディスカウントを利用した。スカイブリッジ・キャピタルの創設者アンソニー・スカラムッチ氏はブルームバーグに対し、一部のGBTC投資家が損失を実現し、より安価なETFオプションに切り替えていると語った。コスト差を示すために、GBTCは1.5%の手数料を取るが、他のETFは0.20%の手数料であったり、一部には6ヶ月間の手数料免除というものもある。

コインルーツのデイブ・ワイスバーガーCEOはX(旧ツイッター)で、GBTC保有者の構成が流出の波に大きな役割を果たしている可能性があると指摘した。ディスカウントを求めるヘッジトレーダーや低い手数料に飛びつく他の投資家に加え、パニック売りが最近の市場動向に寄与している可能性がある。ワイスバーガー氏は「課税口座の利益確定や、それを維持するためのパニック売りが問題だ。これらの割合が何%なのか、保有者の平均的な参入価格がどれほどかはわからない」と述べている。

GBTCが現物型ETFとして最初の嵐に直面する中、他のビットコインファンドは異なる方向に動いている。発行者は取引5日目に1万667ビットコインを追加し、活発な活動の中でポートフォリオにさらに増加させた。

CC15Capitalのデータによると、発行者のビットコイン保有量は純額で約4億4000万ドル増加している。この増加の大部分はブラックロックのETFによるもので、約8700BTCで、約3億5800万ドルに相当するビットコインを取得した。設立以来、グレイスケールを除く9つのETFは合計で約6万8500BTCを購入している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン