米国仮想通貨(暗号資産)投資会社グレイスケールは、同社が保有するビットコインキャッシュ(BCH)信託とライトコイン(LTC)信託が、世界最大の米国証券預託機関であるDTC(Depository Trust Company)への預け入れ対象となることを発表した

DTCは1973年に設立され、ニューヨークに拠点を置いている。2017年7月31日時点で54.2兆ドル(約5740兆円)相当の有価証券を保有している。グレイスケールがDTCに預託することは、ニューヨーク証券取引所やナスダックのような主要な証券取引所に上場するための要件を満たすことにもつながる。

グレイスケールはビットコイン(BTC)などの投資信託を運用しており、主に機関投資家が利用する。今回の発表により、OTC(店頭取引)市場でBCHとLTCの両銘柄が投資できるようになる。ティッカーシンボルはBCHGとLTCN。開始日時は明らかになっていないが、「まもなく利用可能になる」としている。

BCHGとLTCNについては7月に、金融取引業規制機構(FINRA)が株式公開を承認したと発表しており、DTCの承認を待っていた。

グレイスケールの発表によると、BCHGとLTCNは2018年3月から適格投資家に私募で提供してきた。7月31日時点で、ビットコインキャッシュ投信の発行済株式は6,028,000株で、1口あたり0.00941311BCHとなっている。またライトコイン投信については、2,500,800株で、1口あたり0.09413112LTCとしている。

イーサリアムの投資信託も

グレイスケールは今回の2銘柄の他にもイーサリアムの投資信託の公開取引を進めている。8月6日の発表によると、同社のイーサリアム信託が米証券取引委員会(SEC)の報告会社となることを決めたという。現在申請審査中であり、もし承認されれば、同社のビットコイン投信に続いて、SEC報告会社として2例目となる。

SECへの報告企業となることで、今後グレイスケールは多くの情報を投資家に公開することになる。市場への安心感が高まることなどから、機関投資家の呼び水となることが期待されている。

BCHとLTCの価格への影響は?

それではBCHとLTCの価格への影響はどうなるのか。一部のアナリストからはビットコイン投信やイーサリアム投信ほどの需要が見込めるかは「微妙なところだ」と指摘する声も出ている

「BTCは長期投資目的やインフレヘッジで機関投資家需要が伸びており、ETHはDeFiブームやこの先の大型アップデートで実需拡大期待があるなど、それぞれ個別材料がありますが、BCHとLTCは比較的にこうした『テーマ』に乏しいような印象があります」と、bitbankのアナリストである長谷川友哉氏は指摘している。

もちろん、「ポートフォリオ分散の観点から(BCHGとLTCNへの)多少の需要は見込める」ものの、そこまで大きな需要が期待できるかは疑問符だとみている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン