グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)は7月にビットコインキャッシュ(BCH)とライトコイン(LTC)の仮想通貨投資信託について新しい動きを発表した。7月20日のグレイスケールの発表によると、米国の自主規制機関である金融取引業規制機構(FINRA)が、同社のビットコインキャッシュ投資信託とライトコイン投資信託の株式公開を承認したという。

2つの株式はBCHGとLTCNというティッカーシンボルであり、店頭取引(OTC)市場で取引可能となる。

グレイスケールのビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)の投信は、仮想通貨を直接保有したくない機関投資家からの需要を集めている。グレイスケールの運用資産は今週51億ドルに達している

果たして、ビットコインキャッシュやライトコインのグレイスケール投信も、機関投資家からの需要を集めることになるだろうか。アナリストらにその見通しを聞いた。

機関投資家の人気を獲得するのは難しい?

bitbankの長谷川友哉氏は、ビットコイン投信やイーサリアム投信ほどの需要が見込めるかは「微妙なところだ」とみている。

「BTCは長期投資目的やインフレヘッジで機関投資家需要が伸びており、ETHはDeFiブームやこの先の大型アップデートで実需拡大期待があるなど、それぞれ個別材料がありますが、BCHとLTCは比較的にこうした『テーマ』に乏しいような印象があります」

もちろん、「ポートフォリオ分散の観点から(BCHGとLTCNへの)多少の需要は見込める」ものの、そこまで大きな需要が期待できるかは疑問符だとみている。

またFXCoinの松田康生氏も、BCHやLTCの商品が機関投資家から需要を得るのはそう簡単ではないとみている。

「グレイスケールの商品のうちBTC Trustの保有暗号資産が3540百万米ドル、ETH Trustが385百万米ドルあるのに対し、BCH Trustは5.8百万ドル、LTC Trustに至っては2百万ドルに過ぎません。各通貨の時価総額と比べても説明がつかないほどの差が出ています。

この理由は機関投資家は流動性の高いものを好むからで、一方で分散投資を心掛けているので、『BTC プラス・ワン』という存在としてETHが選ばれているのではないかと考えています。従って、BCHやLTCが機関投資家の人気を獲得するには、時価総額第2位というETHのポジションを脅かす必要があり、現時点ではそう簡単なことではないと考えています」

時価総額の面での規模感と流動性、そして投資家を惹きつけるような「テーマ」。こういった面をクリアすることが機関投資家がアルトコインを選択するには必要になりそうだ。足元の強気相場の動きが、アルトコインの動向に変化をもたらすのかどうかにも注目する必要があるだろう。