大手投資銀行のゴールドマン・サックスとフランスの大手銀行BNPパリバは、ブロックチェーンを基盤としたホールセール向け決済会社Fnalityの新たな資金調達ラウンドを主導した。
ロイター通信の11月14日の報道によると、Fnalityは第2ラウンドの資金調達で7770万ポンド(約146億円)を調達した。この資金調達には、ゴールドマン・サックスとBNPパリバの他に、ユーロクリアやデポジトリートラスト・アンド・クリアリングコーポレーションといった決済機関が参加した。その他の投資家には、世界的なETF企業ウィズダムツリーとFnalityの既存の投資家である野村が含まれている。
初回ラウンドの投資家からの追加投資もあり、これにはサンタンデール銀行やBNYメロン、バークレイズ、CIBC、コメルツバンク、ING、ロイズ・バンキング・グループ、ナスダック・ベンチャーズ、ステート・ストリート、三井住友銀行、UBSが含まれる。既報のように、UBSを含む世界の銀行は2019年6月にFnalityに5500万ポンド(約100億円)を投資し、ブロックチェーンベースの貿易決済プラットフォームの立ち上げを目指していた。
新たに調達された資金は、ホールセール金融市場や新興のトークン化資産市場における新しいデジタル決済モデル用のグローバル流動性管理ネットワークの設立に使用される。また、この資金調達によって、2023年に予定されているスターリングFnality支払いシステムのローンチの基盤を整える計画だ。これはイングランド銀行の承認が前提となる。
ゴールドマン・サックスのデジタル資産のグローバルヘッドであるマシュー・マクダーモット氏によると、Fnalityのブロックチェーン技術の応用により、金融機関は中央銀行の資金を活用できる多くのユースケースが生まれるという。特に「即時決済、クロスボーダー、異なる通貨間の支払い、担保の流動性、証券取引」が含まれると指摘した。
Fnalityは2019年にUBS主導のブロックチェーンプロジェクトとして設立され、ホールセール決済やデジタル証券取引向けに主要通貨のデジタル版を構築することを目指していた。このプロジェクトは、USC(ユーティリティ・セトルメント・コイン)として知られ、イーサリアムベースのブロックチェーン上で米ドルやユーロなどの法定通貨をトークン化することを目的として設立された。
JPモルガンなどの大手銀行もブロックチェーン技術を用いたトークン化の取り組みを進めている。例えば、JPモルガンは11月初旬に、機関投資家向けのJPMコインプラットフォーム上で新たなプログラマブル支払い機能を発表した。