ブロックチェーン技術は近年、経済の様々な分野で導入されている。イノベーションや成長を促進し、付加価値をもたらしている。導入されている業界の中で特に注目されているのがゲーム業界だ。
ゲームは、ブロックチェーン技術の普及を後押しする最も重要なユースケースと言える。ユーザーがブロックチェーンに触れる動機を、投機からプラットフォーム上の取引へと移行させることができるからだ。さらにゲームは、消費者への普及だけでなく、ブロックチェーン自体の開発のイノベーションを促進する。
代表的なブロックチェーンゲームアプリケーションはクリプトキティーズ(Cryptokitties)だ。
プラットフォーム自体はコレクターアイテムのために開発されたゲームだ。しかし、イーサリアムプラットフォーム上で行われる取引を代表するアプリケーションとして、瞬く間に脚光を浴びるようになった。
利用が開始されて以来、ブロックチェーン技術を活用したゲームアプリの数は爆発的に増え、アドベンチャーゲームやカードゲームからアクションゲーム、ロールプレイングゲーム、カジノに至るまで、様々なカテゴリーが開発されている。
ゲームにおけるブロックチェーンの利用は、イーサリアムの場合などでは、ブロックチェーンプラットフォームのトランザクション容量に制約がある。そのため、現在のゲームにおけるブロックチェーンアプリケーションは実験的なものが多く、主にはコレクション目的のゲームとモバイルゲームの開発が進んでいる。
カードゲームは、プレイ内容にブロックチェーン技術を使用した最初のゲームの一つだ。主にトレーディングカードゲームに導入されており、ユニークな特徴は、カード自体がノンファンジブル・トークン(NFT)として、取引可能なアイテムになることだ。ほとんどの場合、NFTはマーケットプレイスであるオープンシー(OpenSea)上で取引される。
ブロックチェーン技術を利用した最も人気のあるトレーディングカードゲームの1つが「ゴッズアンチェインド(Gods Unchained)」だ。
【関連記事:Overview and Market Trends of Crypto Games in 2020】
リアルタイムストラテジーゲーム(RTS)や大規模多人数型オンラインゲームであるMMOは、スマートコントラクトや複数のアセットタイプを作成できるため、ゲームでブロックチェーンをテストするには理想的なジャンルとなっている。人気となっている作品にはMMOなどの他にオンラインゲームやグループで遊べるものが増えており、ゲームはブロックチェーン技術の応用で重要な役割を果たしている。
中国の上海とバンクーバーに拠点を置くゲーム会社「ピクセルマティック」は、ブロックストリーム社で最高戦略責任者(CSO)を務めるサムソン・モウ氏によって設立された。同社ではRTSとMMOゲームの典型であるイブオンラインの要素を取り入れたMMOゲーム「インフィニット・フリート」の開発に取り組んでいる。
「インフィニット・フリート」は宇宙ステーションやステロイド採掘、宇宙船艦隊などを用いて戦略を練るストラテジーゲームだ。ライトコイン創設者のチャーリー・リー氏、「仮想通貨の父」と言われるアダム・バック氏、ビットフィネックスの元最高戦略責任者(CSO)であるフィル・ポッター氏など、ビットコイン関連の「OG」が出演する。また、ゲーム内通貨「INF」は、仮想通貨として発行される。このゲームはゲーム業界に仮想通貨を広く普及させる大きな一歩になるのではないかと期待されている。
【関連記事:仮想通貨ビットコインの大御所たちが全面支援 サムソン・モウ手がけるゲーム「インフィニット・フリート」年末までに立ち上げへ】
イーサリアム上のブロックチェーンで動作するゲームでは、トランザクションのネットワークをスパム化し、手数料であるガス料金を増加させるリスクがある。それにもかかわらず、パブリックブロックチェーン上で動作するゲームが開発されるケースが増えており、その後のネットワーク量の増大を緩和するためのソリューションを開発するインセンティブが生まれている。
プルーフ・オブ・ステーク・ブロックチェーン、サイドチェーン、ステートチャネルは、現在展開されているプルーフ・オブ・ワークの課題となっているトランザクション速度を解決するためのソリューションを提供できる。
EsportsBetsによると、今年の主要なブロックチェーンゲームはほとんどがカードゲームで、RTSゲームがそれに続いているという。大手企業はまだ開発中か、検討中のところが多く、小規模な開発会社が優位性を持てる機会はまだ十分に残されている。
カジノはブロックチェーン技術を採用した最初のゲームアプリケーションの一つで、オンラインカジノがその筆頭となっている。ブロックチェーンベースのオンラインギャンブルサイトは非常に多く、そのほとんどが従来の法定通貨ベースのカジノやギャンブルサイトよりも、プレイヤーに高い質と可能性を提供している。ギャンブルはおそらくブロックチェーンベースのゲームの中で最も成熟したセグメントであり、伝統的市場と競争できる分野だろう。
優れた開発者が現れ、ほとんどのツールがオープンになったことで、ブロックチェーンゲームは、クリエイターとゲーマーの双方にとって、これまで想像もできなかった価値を解き放ちつつある。初めて、真にオープンなエンターテインメント経済を構築することができると言えるだろう。
また、ブロックチェーンアプリケーションや、ゲームに役立つトークンが見つけることができるプラットフォームへの投機熱が高まっている。こうしたプラットフォームはリリースされてすぐに大手取引所に上場されることがよくある。使いやすいユーザーインターフェースの継続的な開発や、ブロックチェーンアプリケーションの標準化によって、PoWプラットフォームから、より高速なトランザクションを提供できるものへと取引が移行できる。そして、一般ユーザーの注目を集めるアイテムのリリースなどによって、メインストリームに受け入れられるのは時間の問題だろう。
ブロックチェーン技術は特にゲームに適しており、ゲームは技術的にも、ゲーム内アイテムやトーナメント、キャラクター開発、プレイヤー認識の価値を広げるという点で、ブロックチェーン技術の恩恵を直接受けることができる。
これにより、eスポーツは、現在のインターネットのように、スポーツやエンターテイメント分野のリーダーとしての道が開かれている。現在、伝統的なメディアはほとんどがインターネット上で運営されているため、ブロックチェーン技術によって、すべてのスポーツがいつかesportsの要素を含むようになるかもしれない。
Artem Kabanovは6年以上の経験を持つ起業家。2016年から仮想通貨投資家として活動しており、4つのオンライン企業、仮想通貨プロジェクトのX-token、多数の伝統的なビジネスを創業してきた。Artemはプロのスピーカーであり、Club-500のメンバーでもある。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン