ニューヨーク連邦準備銀行イノベーションセンターが11月4日、ホールセール中央銀行デジタル通貨(wCBDC)「プロジェクト・シーダー」の第1フェーズに関する報告書を公表した。

NY連銀のミシェル・ニール執行副総裁兼市場部門責任者は、シンガポールで行ったプレゼンテーションにおいて、今のところ同連銀にCBDCを発行する計画はないが、「連邦準備銀行の視点から」外国為替のスポット決済について調査してきたと述べた。一般ではなく金融機関を対象とする同連銀のプロトタイプwCBDCは、現在の標準的な決済よりも劇的に速く、より安全に取引を実施することができたという。

NY連銀は、プロジェクト・シーダーの12週間にわたる第1フェーズのユースケースとして、外国為替スポット取引を選んだ。同取引は比較的シンプルであり、より広範で複雑な取引の一部として使用されることが多いためである。また、1日7兆ドルの取引高のうち、支払い対支払いベースで直接決済されているのは40%未満であり、取引には通常2日かかる。

プロジェクト・シーダーは、特別に設計された分散型台帳を使用して、さまざまな台帳上の異なる通貨間の取引を実施した。使用された分散型台帳は、未使用取引データ出力モデルを備える許可されたブロックチェーンネットワークだった。テストシナリオにおいて、それらの外国為替スポット取引は、決済されずに取引失敗とならない限り、10秒以下で同時に、アトミックに決済された。また、通貨数が増えるにつれて処理能力が向上した。

NY連銀イノベーションセンターのペール・フォン・ゼロウィッツ所長は、声明で次のように述べている

「プロジェクト・シーダーの第1フェーズは、重要な決済インフラを近代化するうえで、ブロックチェーン技術の応用が有望であることを明らかにした。我々の初めての実験は、お金と決済の未来について米国の視点からさらに研究開発を進めるための、戦略的な跳躍台を提供するものである」