FTXの新経営陣は、「大幅に過大評価された」エンベッド社の買収から利益を得た関係者から2億4000万ドル以上の資金を取り戻そうとしている。

5月17日にFTXの新経営陣が十分なデューデリジェンスを行わずに実施されたエンベッド買収に関連して、FTXの元CEOのサム・バンクマン-フリード氏を含む他のFTXの旧経営陣を相手取って訴訟を起こした

しかし同じ日に、株式取引プラットフォームのエンベッドのCEOであるマイケル・ジャイルズ氏とその株主から資金を取り戻そうとする別の訴訟が提起された。FTXがエンベッドに対して「大幅に過大評価された」価格(2億2000万ドル)を支払ったと非難している。

提出された文書によれば、エンベッドの最高技術責任者(CTO)のローレンス・ビール氏は、ジャイルズ氏との短い会議の後、FTXがエンベッドにこれほど巨額の金額を支払ったことに驚いた。ビール氏は、エンベッドの別の幹部との間で、カウボーイの絵文字を用いてFTXのデューデリジェンスのプロセスに驚愕したやり取りをしている。

買収の一環として、FTXはエンベッドの従業員に合計7000万ドルの維持ボーナスを支払った。そのボーナスの大半(5500万ドル)はジャイルズ氏が受け取ったという。

ジャイルズ氏が買収契約を署名した2022年6月10日から、買収が完了した2022年9月30日までの間、彼は毎日49万ドルを受け取っていたと考えられる、それは彼が毎週7日間働いていたと仮定した場合だ。彼はまた、エンベッドの最大株主としての地位により、取引が完了したときに追加で1億300万ドルを受け取った。

この金額は、エンベッドのCEOとしてのジャイルズ氏の通常の月給1万2500ドルから見ると、驚くべき金額だ。

ジャイルズ氏だけが買収締結日にボーナス全額が支払われた。他の従業員は、ボーナス全額を受け取りたいなら、2年間エンベッドに留まる必要があった。

このようなエンベッド内部での不釣り合いな支払いを、FTXの新経営陣は非難している。FTX側は今後、ジャイルズ氏とエンベッドのエグゼクティブから2億3680万ドル、さらに同社の小規模株主から690万ドルを取り戻そうとする。

FTX側の弁護団はまた、FTXの旧経営陣が「FTXグループの内部統制と記録保持の欠如を利用して巨大な詐欺を働いた」と非難している。

FTXは2022年11月11日に連邦破産法第11条の破産申請を行った。FTXを新たに率いることになった破産弁護士のジョン・レイ氏は、顧客や債権者に返済するための資金を取り戻すことに注力している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン