仮想通貨(暗号資産)デリバティブ取引所FTXは26日、仮想通貨ポートフォリオ追跡アプリである「ブロックフォリオ(Blockfolio)」の買収を発表した。買収額は1億5000万ドル(約160億円)。これらは現金と仮想通貨、株で支払われたという。
ブロックフォリオは600万のユーザーを持つなど、リテール投資家に最も人気のあるポートフォリオ管理アプリの一つ。主にクオンツ投資家やプロのトレーダーが利用するFTXにとって、今回の買収は多くのリテール投資家の呼び水になりそうだ。
ブロックフォリオの共同創業者兼CEOのエド・モンカダ氏はコインテレグラフに対し、「我々はより多くのユーザーを業界にもたらす強気市場の始まりにいる」と話した。「ユーザーにとって最高の体験を提供することに重点を置くという我々のミッションが一致したことを考えると、FTXのチームほど迅速かつ、丁寧に対応できる取引所はなかった」と今回の提携の意図を語った。
FTXのサム・バンクマンフリードCEOは現在開発している「新しい取引体験」について、ブロックフォリオとの提携により、より幅広い影響に期待を示した。
「FTXの目標は可能な限り幅広い層のトレーダーのために、最高品質の取引体験と高い流動性を構築することだ。ブロックフォリオは、仮想通貨コミュニティ内で何百万人もの人々と信頼関係を築いてきた。彼らと協力して、このような人々のために新しく面白い取引体験を開発できることを嬉しく思う」
FTXも2019年に設立されて以来、急速に成長を遂げている。クリプトウォッチによると、オーダーブックの流動性で1位、24時間の取引量でも7位にランクされている。
独立とプライバシーを維持
ブロックフォリオはもともと純粋なポートフォリオ追跡アプリとして2014年に立ち上げられ、デジタル資産の価格更新やプロジェクトの更新を外出先で行えるアプリへと進化してきた。無料で提供されてきたこのアプリは、現在では10,000以上の仮想通貨と500以上の取引所をサポートしている。
2017年のICOブームの際には、極端なボラティリティと需要があったことから、トレーダーの間では、ブロックフォリオが価格フィードを更新するのにかかった秒数を数えるだけで、ビットコインやイーサリアムベースのトークンの価格上昇を推定できるというインジョーク(仲間内にしかわからないジョーク)が飛び交った。
モンカダ氏は、ブロックフォリオはユーザーのデータプライバシーと匿名性を尊重し、独立したアプリとして継続していくと説明した。
最近では、仮想通貨取引所バイナンスが買収したコインマーケットキャップの取引所ランキングアルゴリズムが変更されたことに対する批判が上がっている。これによってバイナンスが取引所ランキングで1位になった一方で、ビットメックスが175位となるなどの「異常値」となったためだ。
FTXもバイナンスが「数千ドル」規模で投資する企業だ。仮想通貨業界の一部のオブザーバーからは、バイナンスが数字に手を加えるのではという疑念も上がるかもしれない。モンカダ氏は、「アプリ内での優遇措置はない。 好きな取引所からデータをインポートすることができる」と約束した。
さらにモンカダ氏は、既存のブロックフォリオチームが引き続きアプリの構築と開発を進めていくと付け加えた。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン