仮想通貨市場はまだ寒風吹きすさぶ冬の様相を呈しているものの、仮想通貨部門に乗り出すベンチャーキャピタル企業の活発な動きは衰えていないようである。最近設立された野村ホールディングスのデジタル資産子会社であるレーザー・デジタルの共同創設者兼最高経営責任者であるジェズ・モヒディーン氏は、FTXの経営破綻など、実際に弱気相場のあおりを受けて起きた最近の出来事は、「暗号資産のエコシステムに対する信頼の向上」をもたらす可能性があると述べている。

「規制だけでなく、顧客情報の集約、安定、実行の重要性を理解している従来のプレーヤーたちがより多く暗号資産の分野に参入してきていることは、この分野の規制に役立つ可能性がある」と、バークレーズの元取締役であり、またヘッジファンド管理会社のブレバン・ハワードの共同経営者など長年ベンチャー部門に携わっているモヒディーン氏は説明している。

現在、レーザー・デジタル・ベンチャーズのポートフォリオには、暗号資産取引所のブリッシュ、分散型金融取引のプロトコルであるオーダーリー・ネットワーク、機関投資家にデジタル資産のハイブリッド・カストディサービスを提供するコマイヌ、その他分散型金融 (DeFi)構造の商品や固定収入のソリューションに取り組んでいる企業などがあり、23年には、20件近くのプロジェクトに投資する予定だとのことである。

レーザー・デジタル社が主にターゲットとする出資先は、機関投資家にソリューションを提供するスタートアップ企業であり、この市場はこのところ一貫して成長を遂げてきている。コインベースの調査によると、機関投資家の62%が過去1年間で仮想通貨への投資割当を増やしている。

「仮想通貨投資に熱い視線を注ぐ機関投資家にとって、必要とされるインフラソリューションの欠如は深刻なネックとなっており、我々は、その解決のための一助となりたいと考えている」と、モヒディーン氏は述べている。web3においては、同社はDeFiを含む仮想通貨の制度の採用を促進するインフラソリューションに特に熱心に取り組んでいる。

仮想通貨価格が低迷している最中に資本調達を模索する仮想通貨関連企業にとって、実在する問題の解決は不可欠であろう。レーザー・デジタル社の投資は、「革新的であり、目標到達方法についての明確な指標がある」プロジェクトに集中している。またモヒディーン氏は以下のように述べている。

「今後数年間でWeb3やメタバースのプラットフォームは主な成長分野となるだろう。また、ソーシャルメディア、ストリーミングサービス、ゲームなどのWeb2によるサービスは、Web3のテクノロジーとガバナンスを採用すれば、大きなメリットが見込まれるだろう」