現物型ビットコイン上場投資信託(ETF)の可能性、ペイパルの新たなステーブルコイン、イーサリアムの重要なアップグレードなどが、仮想通貨市場を冬眠から目覚めさせる要因となる可能性がある。

2023年初頭には、ビットコインや他の仮想通貨の価格が2022年下半期から改善しているが、過去5ヶ月間はやや活気がなく、ギャラクシーデジタルのマイク・ノヴォグラッツCEOは6月に市場を「無気力」と評した

しかし、アナリストたちは、仮想通貨市場に新たな活気をもたらす可能性のあるいくつかの要因を指摘している。

アポロ・クリプトの最高投資責任者であるヘンリク・アンダーソン氏は、ビットコインの現物型ETFの承認可能性に注目しており、「次の6ヶ月間以内に承認される可能性は高い」とコインテレグラフに語った。

彼は、仮想通貨の機関投資家による受け入れが増加し続けていると指摘し、「マクロ経済の引き締めは最悪の時期を過ぎた」と語った。中央銀行が利上げを一時停止していることから、利上げサイクルの終了に達した可能性があると彼は言う。

アンダーソン氏はまた、ペイパルのステーブルコインのローンチやX(ツイッター)からの仮想通貨決済の可能性を、今後の仮想通貨採用の強気の指標として見ている。「他にも潜在的な触媒があり、例えばX(ツイッター)が決済や金融アプリケーションについて何を計画しているのか、仮想通貨はその中で現実的な可能性がある」と彼は語った。

一方、仮想通貨金融サービスプラットフォーム「マトリックスポート」のリサーチ責任者マーカス・ティーレン氏もビットコインの現物型ETFに注目しているが、イーサリアム(ETH)のアップグレードにも注視すべきだと言う。

「ビットコインとETHの価格を支える2つの重要な触媒が年末に向けて存在する:米国上場の現物のビットコインETFのSEC承認の可能性と、2023年第4四半期に予定されているETHのEIP-4844アップグレードだ」とティーレン氏は指摘する。ETHのアップグレードでは、手数料を削減し、トランザクションの処理能力を向上させる新たなメカニズム「プロト・ダンクシャーディング」が導入される。

短期での注目材料は

一方、短期では、シンガポールのトレーディングファームIGの市場アナリスト、トニー・サイカモア氏は、投資家は連邦準備制度理事会(FRB)の前回会合の議事録に注目すべきだとコインテレグラフに語る。連邦公開市場委員会(FOMC)は8月16日に7月の会合の議事録を公開する予定で、利率は据え置かれると予想されている。

「ビットコイン市場は、ナスダックが2週連続で下落した後に安定化の兆しを探る株式市場と、利回りが過去4週間で高くなっている金利市場に注目することになるだろう」とサイカモア氏は述べた。

ビットコインの価格は、3月中旬以降6000ドルのレンジ内で変動している。3万1000ドル以上のレジスタンスラインは少なくとも4回にわたり突破できなかった一方、6月中旬の下落時には2万5000ドル近辺がサポートとなった。さらに、流動性と取引量が近月で減少したことから、市場は過去最低のボラティリティを記録している。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン