格付け会社のフィッチ・レーティングスは24日、米国の公共電力会社に対して、仮想通貨マイニングによる電力供給リスクが増大すると警告した

電力会社は電力販売量の増加による収益見込みと、仮想通貨マイニング事業のためのに大量の電力を調達するバランスをとる必要があるという。

フィッチは、ワシントン州の電力会社については、仮想通貨マイニングの電力要件を満たすことができるとした。同州ではエネルギー集約型のアルミニウム製錬事業が過去20年間に徐々に閉鎖されているため、利用可能なエネルギーが増加しているためだ。

フィッチは仮想通貨マイニング事業について、電力会社の「最大の顧客」になると評価する一方で、「雇用や補助的なビジネスとしては経済的な利益はもたらさない」ために地域経済を発展させる要素としては慎重に評価する必要があるとした。

「仮想通貨マイニングの不安定で規制されていない性質と大量の負荷要求により、ワシントン州の多くの公益事業者は2014年から、仮想通貨負荷モラトリアム、高リスク産業のリスクを考慮した料金体系、顧客集中制限など、仮想通貨マイニング事業者へのエクスポージャーを軽減するための新しい手法を採用している」

中国企業の撤退に伴い、多くのマイニング事業者が拠点を移したテキサス州において、フィッチ・レーティングスは、電力会社が新たな設備に投資するか、長期電力購入契約を締結するか、追加負荷を処理するためにリアルタイムで市場買付により電力を入手することを提案した。しかし、どの選択肢も財政的なリスクを伴い、最終的には住民に転嫁される可能性がある。

"仮想通貨のマイニング事業は価格に敏感な事業体であり、マイニングで利益が得られなくなった場合、すぐに規模を縮小したり閉鎖したりする可能性がある"

多くの仮想通貨マイニング企業は、トークンを採掘するために最も費用対効果の高い地域を求めており、テキサス州やワシントン州を含むいくつかの米国の州は、他の州よりも有利な条件を提供している。カナダのマイニング企業であるBitfarmsは11月、「費用対効果の高い電気」と生産率を理由に、ワシントン州にデータセンターを建設する計画を発表。後にRiot Blockchainが買収したWhinstoneは、テキサス州の風力発電機と電力網の規制緩和を利用して、テキサス州に店舗を構えた。

フィッチ・レーティングスはこれまでにも、ビットコイン(BTC)など仮想通貨による地域経済への影響に関連した警告を発してきた。エルサルバドルが仮想通貨を法定通貨とするビットコイン法を施行する直前の8月には、仮想通貨を使用する市民のボラティリティと運用リスクについて警告し、地域の保険会社が請求や給付金の支払いにBTCを採用することをためらう可能性が高いとした。