著者 中村 孝也(なかむら たかや)Fisco 取締役(情報配信事業本部長・アナリスト)

日興證券(現SMBC日興証券)より2000年にフィスコへ。現在、フィスコの情報配信サービス事業の担当取締役として、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議を主導する立場にあり、アメリカ、中国、韓国、デジタル経済、(仮想・暗号)通貨などの調査、情報発信を行った。フィスコ仮想通貨取引所の親会社であるフィスコデジタルアセットグループの取締役でもある。なお、フィスコ金融・経済シナリオ分析会議から出た著書は「中国経済崩壊のシナリオ」「【ザ・キャズム】今、ビットコインを買う理由」など。

フィスコ

(出典:Zaif「ビットコイン/円」)

ビットコイン テクニカル 

ビットコインは5月の戻り高値107万円を更新、110万円まで上昇し、「抵抗線A」の攻防となり、その後弱含みもみ合いとなっている。当面は90万円強の「支持線1」から110万円強の「抵抗線A」におけるもみ合いがメインのシナリオとなる。目先は「支持線1」を目指した動きか。

「抵抗線A」を上に突破した場合、上値は90万円強の「支持線1」から110万円強の「抵抗線A」の倍返しである130万円強の「抵抗線B」が意識される。その上は150万円強なども間に挟むものの、50万円強の「支持線4」からら110万円強の「抵抗線A」の倍返しである170万円強の「抵抗線C」が上値のめどとなる。足もとの価格上昇が半減期の影響だったのか、過剰流動性相場の前触れなのかは判然としないが、過剰流動性相場の前触れなのであれば、このシナリオも現実味を増す。ビットコイン価格を後追いする形で堅調に推移する株価も、その見方を後押しする。

新型コロナウイルスの蔓延で企業は厳しい業績を余儀なくされている一方、業績と株価の乖離が株式市場では見られる。大恐慌時において米国株価指数の下落第一波からの戻りは約50%であるが、足もとNYダウ、日経平均も当該数値を上回る水準を遥かに超えて戻りを試している。現在の経済情勢と先の見えなさを考慮すれば、株価が元に戻る(全値戻し)という違和感を受け止めきれないことも事実だが、過剰流動性相場に付いていく(もしくは業績がV字回復するという見通しをマーケットが持っているという動きに付いていく)という姿勢も必要な状況ではある。

一方、出来高に迫力がないことは気になる点であり、105万円を上回る過程で6月1日の出来高程度を確保できないのであれば、上値の重さが意識されることになる。