米国連邦預金保険公社(FDIC)によるシグネチャーバンク(SBNY)の事後評価によって、同行の破綻の根本原因が不適切なリスク管理慣行と経営陣の責任を浮き彫りになった。

連邦規制当局は3月12日にシグネチャーバンクを閉鎖した。FDICは保険手続きを行うために指名された。

4月29日に公表されたFDICの報告書では、シルバーゲートバンクやシリコンバレーバンクなどの米国の大手銀行の破綻が、預金の引き出しによる流動性不足を引き起こしたと指摘。さらに、規制当局は以下のように述べた。

「ただし、SBNYの失敗の根本原因は経営陣の問題であった。SBNY経営陣は、良好な企業ガバナンスを優先せず、FDIC検査官の懸念に常に耳を傾けず、FDIC監督勧告(SR)に対する対応が遅れることがあった。」

FDICは、シグネチャーの取締役会および経営陣が、流動性リスク管理戦略を実施せずに、保険のない預金を使って「制限のない成長」を追求したことを非難した。シグネチャーにとって、最後のとどめとなったのは、大量の引き出し要求に対応するために必要な流動性を確保できなかったことだ。

Correlation of SBNY’s stock price to crypto-industry events. Source: FDIC

報告書では、シグネチャーはFDICの懸念に対処したり、規制当局の監督勧告を実施することをしばしば拒否したことも明らかになった。FDICは2017年以降、SBNYに対し、規制、監査、リスク管理の批判を引用した監督書簡を数多く送っていることが示されている。

Proposed SRs from targeted review Supervisory Letters in process at the time of SBNY’s failure. Source: FDIC

勧告への非遵守のため、FDICは2019年からSBNYの流動性評価を「3」に引き下げ、資金管理慣行の改善が必要であることを強調していた。

破綻前、シグネチャーバンクは2つの政府機関によってマネーロンダリングの調査対象とされていたと伝えられている。3月15日の報告書では、米国司法省が同行のマネーロンダリングの疑いで捜査を行っていたことが明らかにされた。

さらに、米国証券取引委員会による並行捜査が進行中であったと報じられている。ただし、捜査が銀行の閉鎖にどのように影響したかは明らかになっていない。